急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫 診断と治療の概要

2020-06-29

急性リンパ芽球性白血病 骨髄生検 HE 400 6

 

急性リンパ芽球性白血病(Acute lymphoblastic leukemia, ALL)は血液の悪性疾患です。急性リンパ性白血病(Acute lymphocytic leukemia)と呼ばれるときもあります。

リンパ芽球が腫瘍性に急速に増殖する疾患です。全身のどこにでも発生しますが、骨の中である骨髄で増えていることが多いです。

リンパ節などで腫瘤として主に増える場合はリンパ芽球性リンパ腫(Lymphoblastic lymphoma, LBL)といいます。増えている腫瘍細胞は急性リンパ芽球性白血病と同様であり、治療方法も同様です。

急性リンパ芽球性白血病の治療方法は毎年のように進歩しています。キムリアなどのCAR-T細胞療法も使用されます。新規の抗体薬も登場しています。

 

本項では、急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の診断と治療についての全体の概要を解説しています。

詳細な内容については各リンク先のページをご確認ください。各項目では国内・国外の文献やガイドラインを参照しつつできる限り最新の診療情報を解説しています。

 

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫 疫学と症状から検査と診断まで

急性リンパ芽球性白血病は血液内科では比較的まれな疾患で、1年間で発症する頻度は10万人に1~1.5人です。

急性リンパ芽球性白血病は発生してから数週間の単位で症状が徐々に進行します。進行が比較的はやいため、「急性」とされます。

発症時の症状には労作時の疲れやすさ、出血、あざができやすい、骨の痛み、リンパ節腫大・発熱・体重減少・夜間の大量発汗、首や足の付け根などの「しこり」などがあります。

急性リンパ芽球性白血病(ALL) Giemsa x400 1
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の症状、血液検査、疫学

続きを見る

 

採血検査を行うと、白血球、赤血球、血小板の値に異常がよくみられます。白血病細胞がみられる場合もあります。急性リンパ芽球性白血病などの血液疾患が疑われたら、診断のために骨髄検査が必要になります。

最終的な急性リンパ芽球性白血病の診断は国際基準(WHO分類)にしたがって行います。

骨髄生検 病理標本 HE x100
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の診断のための検査 骨髄検査

続きを見る

T-ALL Giemsa x40
急性リンパ芽球性白血病(ALL)とリンパ芽球性リンパ腫(LBL)の診断基準と鑑別診断

続きを見る

 

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の予後リスク分類と初回治療

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の診断と同時に、染色体・遺伝子異常など治療方針に影響を与える異常も確認が必要になります。たとえばフィラデルフィア染色体t(9;22)や染色体転座t(4;11)などは、予後だけでなく治療方法決定にも重要です。

成人急性リンパ芽球性白血病 染色体異常 頻度
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の染色体異常、予後、リスク分類

続きを見る

 

急性リンパ芽球性白血病もしくはリンパ芽球性リンパ腫の診断や検査結果がでたら、抗がん剤を用いた「多剤併用化学療法」を行います。

フィラデルフィア染色体陰性の急性リンパ芽球性白血病に対する初回化学療法としては、アントラサイクリン系薬剤を含む多剤併用化学療法がよいです。若年者であれば小児で用いるような多剤併用化学療法を行います。

フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病は抗がん剤化学療法に対する奏効率が低く予後不良とされてきましたが、チロシンキナーゼ阻害薬が登場してからは抗がん剤化学療法に併用すると完全寛解に95%以上で到達するようになりました。

B-ALL Smear, Giemsa x400 2
フィラデルフィア染色体陰性の急性リンパ芽球性白血病の初回化学療法

続きを見る

ALL Giemsa x400 2
フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の初回化学療法

続きを見る

 

実際に用いる「多剤併用化学療法」の投与スケジュールや注意点については代表的なものを以下に解説しています。

ALLのHyper-CVAD奇数サイクル 1
急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対するR-Hyper-CVAD療法の実際と注意点

続きを見る

GRAALL-2005R 急性リンパ芽球性白血病 寛解導入療法1
急性リンパ芽球性白血病に対するGRAALL-2005療法の実際と注意点(前半)

続きを見る

GRAALL-2005R Consolidation Block 1
急性リンパ芽球性白血病に対するGRAALL-2005療法の実際と注意点(後半)

続きを見る

急性リンパ芽球性白血病に対するGRAAPH-2005療法の実際と注意点(前半)

続きを見る

GRAAPH-2005 Response
急性リンパ芽球性白血病に対するGRAAPH-2005療法の実際と注意点(後半)

続きを見る

 

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の治療効果判定、移植、維持療法

急性リンパ芽球性白血病、リンパ芽球性リンパ腫の初回治療をすすめていったら治療効果判定が必要になります。

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の最初の治療目標は完全寛解 (CR)に到達することです。

完全寛解に到達した後は測定可能残存病変(MRD)の有無が予後にさらに影響してきます。奏効は深ければ深いほど予後はよいです。高感度フローサイトメトリやPCRで測定可能残存病変を検査します。

急性リンパ芽球性白血病PCR MRD 0.01% OS
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療効果判定 完全寛解と測定可能残存病変

続きを見る

 

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫に対して、同種造血幹細胞移植は重要な治療のひとつになります。高リスク症例には完全寛解に到達した時点でHLA一致のドナーがいれば同種造血幹細胞移植をすすめます。

同種移植をしないときは地固め化学療法を終えたら維持療法を行います。同種移植後はイマチニブなどを使用するときがありますが、抗がん剤による維持療法は行いません。

すべての治療を完遂したらそのまま経過観察となります。化学療法のみや同種造血幹細胞移植後のどちらであっても長期生存する可能性は十分にあります

ALL HE BMB 100 4
急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する自家および同種造血幹細胞移植

続きを見る

同種移植5年無再発生存者のその後の生存
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の維持療法と経過観察

続きを見る

 

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫 再発・難治性の予後と治療方法

急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫は再発すると初発時と異なり治療反応性が大きく低下します。初回治療に用いるような抗がん剤治療だけでは難治です。初回完全寛解時に同種移植をしていなければ、同種移植を前提に新規治療をすすめていくことを推奨します。

 

治療については新規治療が多数出現しています

再発や治療抵抗性の場合に治療選択に入る新薬は、B細胞性急性リンパ芽球性白血病ではブリナツモマブイノツズマブ オゾガマイシンCAR-T細胞療法です。

T細胞性急性リンパ芽球性白血病ではネララビンです。

フィラデルフィア染色体陽性症例では、それら加えてポナチニブダサチニブが入ります。化学療法も併用すると効果が上がる可能性があります。

急性リンパ芽球性白血病 R-mini-Hyper-CVD + Inotuzumab ± Blinatumomab
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の再発・難治性症例の予後と新規治療

続きを見る

イノツズマブ・R-mini-Hyper-CVD 投与スケジュール 奇数
再発・難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL) 新規抗体薬治療の実際の投与と注意点

続きを見る

CAR-T細胞療法 サイトカイン放出症候群への対応
再発・難治性急性リンパ芽球性白血病 TKIとCAR-T細胞療法

続きを見る

 

トップページに戻る

 

© 2021 Cwiz Hematology