急性骨髄性白血病 (AML) 診断と治療の概要

2019-11-27

急性骨髄性白血病 Acute myeloid leukemia AML Giemsa 400

 

急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia, AML)は、血液の細胞の一種である白血球のような細胞が腫瘍性に増殖する疾患(白血病)のひとつです。

白血病の中でも急性骨髄性白血病は、血液を造るもとの細胞である「造血幹細胞」に近い細胞が腫瘍化して起こる疾患とされています。

急性骨髄性白血病の場合は、骨髄芽球という幼弱な白血球の形態に似た細胞(急性骨髄性白血病細胞)が多くなることが特徴です。

発生してから増殖し症状を呈するまでの期間が比較的短いため「急性」となります。数か月前の健康診断では何も問題なかったのに急性骨髄性白血病と診断された、ということがよくあります。

突然発症し、発症したら治療のためにしばらく入院することが必要になり、もし入院しなければ生命にかかわるため、心の準備も社会的な調整もほとんどできないまま話が進んでしまいます。

 

本項では急性骨髄性白血病の診断と治療についての概要を解説します。

詳細な内容については各項目にリンクがありますので、詳しく知りたいときはご確認ください。

 

急性骨髄性白血病の治療も年々新しいことがわかってきており、治療方法も進歩しています。特定の遺伝子異常を獲得した急性骨髄性白血病に対する新薬なども急速に開発が進んでいます。また同種造血幹細胞移植関連の薬剤の開発も進んでいます。

これらにより、急性骨髄性白血病の治療成績は年々改善しています完治率も年々上昇しています

各項目ではできる限り最新の国内・国外の文献やガイドラインを参照しつつ解説しています。

 

急性骨髄性白血病 症状と診断

急性骨髄性白血病白血病全体の約30~40%です。

年間の発症率は人口10万人あたり3~5人、発症年齢の中央値は約65~70歳です。

 

急性骨髄性白血病は急速に腫瘍細胞が増殖するため、発病してからの進行も早く比較的急速に様々な症状を引き起こしていきます。

倦怠感、易疲労感、出血、発熱などの症状がでやすいです。血液検査で急性白血病が疑われたら血液内科の専門的対応が可能な病院に直ちに受診するように言われます。

急性骨髄性白血病 細胞起源 発生
急性骨髄性白血病(AML)の症状と発症頻度

続きを見る

 

多くの場合はいきなり「白血病かもしれない」といわれて、不安なまま検査を受け、そして入院となります。

急な展開についていけないと感じることが普通です。

 

血液検査では血球数の異常が多くみられます。

急性骨髄性白血病では血液検査で白血病細胞も含めた総白血球数の中央値はおよそ15000~20000/μLです。

10万μLを超える場合や、4000μLを下回る場合もあります。

ヘモグロビン値や血小板数の低下や白血病細胞が確認できることもよくあります。

 

診断確定や白血病細胞の性質の確認のために骨髄検査も行います。

骨髄塗抹標本の結果が最もはやくわかります。急性骨髄性白血病の場合は核のある細胞を500個のうち20%以上の白血病細胞が原則として確認されます。

骨髄検査では骨髄塗抹標本のほかにも、フローサイトメトリや染色体・遺伝子検査、病理標本も行いますが、診断のためだけでなくその後の治療方法や予後にも大きく関与しますので非常に重要な検査となります。

急性骨髄性白血病 骨髄生検 HE x100
急性骨髄性白血病(AML)の血液検査・骨髄検査

続きを見る

 

急性白血病が疑われて血液検査や骨髄検査などを行ったら、診断へと進んでいきます。

急性骨髄性白血病の診断は「2016年改訂WHO分類」に基づいて行います。

骨髄もしくは末梢血で核のある細胞のうちの20%以上の芽球が骨髄系統であると同時に、リンパ系統(BやT)でないことが確認できれば、急性骨髄性白血病と診断します。

急性骨髄性白血病の診断にはいくつかの例外があります。特定の染色体・遺伝子異常や骨髄肉腫の存在、急性赤白血病の場合などがその例外にあたります。

診断の時は、骨髄異形成症候群などの疾患について「鑑別診断」をする必要があります。

急性骨髄性白血病 骨髄塗抹標本 Giemsa 91
急性骨髄性白血病(AML)の診断 診断基準と鑑別診断

続きを見る

 

急性骨髄性白血病の診断が確定したら、その中のどのタイプになるのか2016年改訂WHO分類に基づいて「病型分類」を行います。

急性骨髄性白血病には様々なタイプがあり、そのタイプによって治療方法も予後も変わってきます。

「AML with recurrent genetic abnormalities」、「AML with myelodysplasia-related changes」、「AML, not otherwise specified」などがあります。

WHO216 急性骨髄性白血病 病型分類
急性骨髄性白血病(AML)の2016年改訂WHO分類にもとづく病型分類

続きを見る

 

急性骨髄性白血病の寛解導入療法と完全寛解

急性骨髄性白血病(AML)の診断が濃厚な時点で治療前検査を開始し、診断が確定したら滞りなく治療を開始します。

最初の治療は「寛解導入療法」というものです。

寛解導入療法は急性骨髄性白血病の治療の中で最も重要となります。寛解導入療法のやり方によって、完全寛解到達率も全生存率も変わってきます

 

初回寛解導入療法はアントラサイクリン系抗がん剤シタラビンの2剤からなります。特定の遺伝子異常を獲得している急性骨髄性白血病には、新薬を用いることがあります。

寛解導入療法をサポートする医療もまた重要で、適切なサポートにより生存率が変わります。特に寛解導入療法は急性骨髄性白血病の治療全体で1ヶ月当たりの致死的な合併症が最も高いためサポートする医療が重要です。

 

寛解導入療法を開始してから14日目ごろに骨髄検査を行い最初の治療効果判定を行います。

残存白血病細胞がなければ血球数回復を待ちますが、残存白血病細胞が明らかなときは、その時点で2回目の寛解導入療法を行うことを推奨します。

 

血球数が回復してきたら完全寛解を確認するために骨髄検査を行います。

完全寛解の基準は「2017年ELN基準」というものを用います。

寛解導入療法の治療目標は「完全寛解 (CR)」もしくは「血球数の回復が不完全な完全寛解 (CRi)」に到達することです。

 

急性骨髄性白血病 完全寛解到達後の寛解後療法と治療効果判定

急性骨髄性白血病(AML)の寛解導入療法により、完全寛解に到達しても、そこで治療終了ではありません。

完全寛解に到達しても、急性骨髄性白血病細胞はまだ完全には消えていません。ここで治療を終了したら数か月で再発してしまいます。

完全寛解に到達後も簡単に再発しないように「寛解後療法」が必要です。

 

寛解後療法は化学療法もしくは同種造血幹細胞移植です。

寛解後療法は急性骨髄性白血病のリスク分類(2017 ELN分類)に基づいて行います。

リスク分類で予後が比較的良好な群であれば「大量シタラビン療法」を、不良であれば「同種造血幹細胞移植」を、中間であれば「大量シタラビン療法」もしくはHLAの一致するドナーが存在する場合に「同種造血幹細胞移植」を、推奨します。

 

寛解後療法でも、全身状態を管理する医療などにより、生存率が大きく変わります。同種造血幹細胞移植でも、サポートする医療の発展でも生存率が年々改善しています。

寛解後療法が終了したら、治療効果判定を再度行います。可能であれば微小残存病変(測定可能残存病変)の確認も行います。

 

再発もしくは難治性の急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病(AML)は完治も可能ですが、再発も少なくありません。再発は治療終了後最初の数年以内に多いです。

同種造血幹細胞移植を行っていないのであれば、治療は同種造血幹細胞移植を早めに行うことを推奨します


急性骨髄性白血病に対して同種造血幹細胞移植を行ったにもかかわらず、再発してしまった場合は、かなり厳しい状態と言わざるを得ません。ドナーリンパ球輸注、再同種造血幹細胞移植、薬物治療が選択肢になります。

もしIDHやFLT3といった遺伝子の変異を獲得した急性骨髄性白血病に対しては、新薬を用いた治療を推奨します。

急性骨髄性白血病 骨髄生検 HE200
再発もしくは難治性の急性骨髄性白血病(AML)の治療

続きを見る

 

© 2021 Cwiz Hematology