急性リンパ芽球性白血病(ALL)の再発・難治性症例の予後と新規治療

2020-06-23

急性リンパ芽球性白血病 R-mini-Hyper-CVD + Inotuzumab ± Blinatumomab

 

急性リンパ芽球性白血病(ALL)・リンパ芽球性リンパ腫(LBL)は再発すると初発時と異なり治療反応性が大きく低下します。再再発もしやすくなります。

頻度は少ないですが初回治療で完全寛解に到達しない場合(治療抵抗性)もあります。

本項では、急性リンパ芽球性白血病・リンパ芽球性リンパ腫の再発および治療抵抗性について、またその治療方法について解説します。

治療については新規治療が多数出現しています。イノツズマブ オゾガマイシン、ブリナツモマブ、ネララビン、CAR-T細胞療法、ダサチニブ、ポナチニブなどです。

これらの治療についても文献やガイドラインを参照にして記載していきます。本項により再発・難治性の急性リンパ芽球性白血病の治療選択肢について理解でき、実際に選択するときも根拠を持って選ぶことが可能になります。

実際の投与とその注意点については、「再発・難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL) 新規抗体薬治療の実際の投与と注意点」「再発・難治性急性リンパ芽球性白血病 TKIとCAR-T細胞療法」をご覧ください。

 

急性リンパ芽球性白血病 再発・難治性症例の予後

急性リンパ芽球性白血病では頻度はまれですが、初回治療を数サイクル行っても完全寛解(CR/CRi)に到達しない症例があります(治療抵抗性)。

一度完全寛解に到達してから骨髄や中枢神経系など体のどこかに急性リンパ芽球性白血病病変が再出現し完全寛解ではない状態になった場合を「再発」と言います。

測定可能残存病変(MRD)が検出されただけでは再発とはいいません。

 

再発が確認された場合は、治療の準備をすすめていきます。

病変の確認や心機能などの臓器の状態を確認します。初発時と同様の検査をおこないます。

 

急性リンパ芽球性白血病が治療抵抗性あるいは再発した場合は、通常の抗がん剤治療などではかなりの難治性です。

2007年に出版された大規模前向き臨床試験の結果があります(Blood. 2007 Feb 1;109(3):944-50).

初回治療で完全寛解に到達後に再発した症例を解析しています。再発した症例は、再発までの期間の中央値は11か月で、2年以内の再発が81%でした。ほとんど(91%)は骨髄中に急性リンパ芽球性白血病病変が確認されています。

当時の治療では、再発後1年生存率は22%とかなり悪いです。同種移植を行っても自家移植と比べて生存率はあまり改善しませんでしたが、化学療法のみだと極めて予後不良でした(下図)。

急性リンパ芽球性白血病 再発 治療別OS

同種移植の効果も再発してからでは乏しくなります。急性リンパ芽球性白血病は極力再発させないように初回治療の時点で適切に行うことがそもそも重要とされました。

 

すこし遅れて2010年に大規模前向き臨床試験の再発症例の解析結果がでました(Haematologica. 2010 Apr;95(4):589-96)。

再発した症例は、再発までの期間の中央値は11か月で、ほとんど(93%)は骨髄中に急性リンパ芽球性白血病病変が確認されています。

そして同じように1年生存率は24%とかなり悪いです。再度完全寛解に到達した症例は45%でした。再発までの期間が長いほど1年生存率は高くなりました。

15例は再発後に治療をしなかったのですが、その人たちの生存期間の中央値は1か月でした。

 

2016年には小児の治療を用いた大規模前向き臨床試験(GRAALL)の再発症例の解析結果が出版されています(Blood Cancer J. 2016 Dec 9;6(12):e504).

GRAALLで治療し再発した症例の完全寛解から再発までの期間の中央値は10か月で、ほとんど(96%)は骨髄中に急性リンパ芽球性白血病病変が確認されています。中枢神経系に病変が確認されたのは17%でした。

再度完全寛解に到達したのは53%で、1年生存率は34.4%、2年生存率は19.3%でした。再発までの期間が長いほど生存率は高くなりました。

再発し同種移植を行った症例は、同種移植をしない症例よりも生存率は高い結果でした(下図, p<0.001).

急性リンパ芽球性白血病 GRAALL再発 治療別OS

 

初回治療抵抗性の症例も含めた解析結果がMDアンダーソンがんセンターから2010年に報告されています(Cancer. 2010 Dec 15;116(24):5568-74).

初回治療抵抗性の症例と完全寛解到達後1年以内の早期再発症例の後ろ向き研究です。再治療でも完全寛解に到達するのは31%でした。半数以上の症例で治療に不応でした。

そして完全寛解に到達しても、完全寛解を維持できた期間の中央値は5か月でした。

1年生存率も20%を下回ります(下図).

急性リンパ芽球性白血病 早期再発 治療抵抗性 OS

治療抵抗性や早期再発症例は特に難治性であると言えます。

 

同種造血幹細胞移植後の再発も予後はよくありません。

2019年に急性リンパ芽球性白血病に対する2回目の同種造血幹細胞移植について後ろ向き研究の結果が出版されました(Br J Haematol. 2019 Sep;186(5):767-776).

同種造血幹細胞移植後に2回目の同種造血幹細胞移植を行うことができるのは比較的若年で全身状態の良い症例に限られます。

しかしながら2回目の同種造血幹細胞移植でも1年以内の再発は約半数にみられました。有害事象も多く発生しました。

2回目の同種造血幹細胞移植後の1年生存率は50%未満、2年生存率はおよそ30%でした(下図)。

急性リンパ芽球性白血病 2回目の同種造血幹細胞移植 OS

2回目の同種造血幹細胞移植は、そもそもドナーリンパ球輸注(DLI)とあまり成績は変わりません(Exp Hematol. 2018 Jun;62:24-32)。有害事象はドナーリンパ球輸注のほうが少ないです。

 

治療抵抗性や再発症例に対して、初回治療に用いるような抗がん剤治療だけでは難治であるため、以下に解説するような新薬を用いた治療がすすんできています。初回完全寛解時に同種移植をしていなければ、同種移植を前提に治療をすすめていくことを推奨します。

同種造血幹細胞移植後の再発の場合は、抗がん剤治療でも同種移植でも難治です。以下に解説するような新薬を使用し、ドナーリンパ球輸注(状況によっては2回目の同種移植)を前提に治療をすることをすすめます。

 

治療抵抗性もしくは再発後の急性リンパ芽球性白血病の新薬治療 抗体薬

再発や治療抵抗性の場合に治療選択に入る新薬は、B細胞性急性リンパ芽球性白血病ではブリナツモマブイノツズマブ オゾガマイシンCAR-T細胞療法です。

T細胞性急性リンパ芽球性白血病ではネララビンです。

フィラデルフィア染色体陽性ならば上記に加えて、ポナチニブダサチニブが入ります。

 

CD22が陽性となるB細胞性急性リンパ芽球性白血病ではイノツズマブ オゾガマイシン(商品名:ベスポンサ)が使用できます。

イノツズマブ オゾガマイシンはCD22に対する抗体に、細胞毒性をもったオゾガマイシンをくっつけた薬剤です。

2016年にイノツズマブ オゾガマイシンの有効性について、大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されました(N Engl J Med. 2016 Aug 25;375(8):740-53)。

INO-VATE試験の名称のこの臨床試験では、イノツズマブ オゾガマイシン強力抗がん剤化学療法を比較しました。

完全寛解(CR/CRi)到達率は強力抗がん剤化学療法群では29.4%であったのに対して、イノツズマブ群では80.7%統計学的にも明らかにイノツズマブ群のほうが高い完全寛解達成率でした(p<0.001).

完全寛解でフローサイトメトリ測定可能残存病変が陰性に到達した症例は、強力抗がん剤化学療法群で28.1%であったのに対して、イノツズマブ群では78.4%と統計学的にも明らかにイノツズマブ群のほうが高くなりました (p<0.001).

約30か月の追跡の結果も2019年にでています(Cancer. 2019 Jul 15;125(14):2474-2487).

無増悪生存期間の中央値は、強力抗がん剤化学療法群は1.7か月であったのに対して、イノツズマブ群は5.0か月と、統計学的にも明らかにイノツズマブ群のほうが良好でした(下図).

急性リンパ芽球性白血病 INO-VATE PFS

全生存期間の中央値は、強力抗がん剤化学療法群は6.2か月であったのに対して、イノツズマブ群は7.7か月と、統計学的にも明らかにイノツズマブ群のほうが良好でした(下図).

急性リンパ芽球性白血病 INO-VATE OS

重症な有害事象の発生率はあまり変わりありませんでした。

重症な発熱性好中球減少症の発生率はイノツズマブ群のほうが少なく、強力抗がん剤化学療法群の半分くらいの発生頻度でした。

イノツズマブ群では重症な肝類洞閉塞症候群が約10%と強力抗がん剤化学療法群の約1%よりも多くみられました。

なお、どちらの群でもその後同種移植を行った症例のほうが有意に予後は良好でした。

 

CD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病ではブリナツモマブ(商品名:ビーリンサイト)が治療の選択肢に入ります。

ブリナツモマブは二重特異性抗体製剤(BiTEs)と呼ばれる種類の薬剤で、CD19陽性の細胞とT細胞の両方に接続し、T細胞に腫瘍を攻撃させます。

2017年に大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されました(N Engl J Med. 2017 Mar 2;376(9):836-847).

TOWER試験の名称のこの臨床試験では、ブリナツモマブ強力抗がん剤化学療法を比較しました(下図)。

急性リンパ芽球性白血病 TOWER

完全寛解(CR/CRi)到達率は強力抗がん剤化学療法群では25%であったのに対して、ブリナツモマブ群では44%統計学的にも明らかにブリナツモマブ群のほうが高い完全寛解達成率でした(p<0.001).

全生存期間の中央値は、強力抗がん剤化学療法群は4.0か月であったのに対して、ブリナツモマブ群は7.7か月と、統計学的にも明らかにブリナツモマブ群のほうが良好でした(下図).

急性リンパ芽球性白血病 TOWER OS

重症な有害事象は強力抗がん剤化学療法群のほうが少し多い結果でした。

ブリナツモマブ群では、輸注反応サイトカイン放出症候群神経毒性がやや多くみられました。神経毒性の多くは1サイクル目に発生します。

 

イノツズマブ オゾガマイシンでもブリナツモマブでも、生存期間の延長はわずか数か月です。

MDアンダーソンがんセンターではさらに高い効果を目指して、イノツズマブ オゾガマイシンに減弱化学療法であるmini-Hyper-CVDを併用した治療の前向き臨床試験を行い、2018年にその結果が出版されました(JAMA Oncol. 2018 Feb 1;4(2):230-234).

mini-Hyper-CVDはHyper-CVAD療法から毒性の強いアントラサイクリン系薬剤を除き、さらにその他の抗がん剤を減量させた治療です。

イノツズマブ オゾガマイシンにmini-Hyper-CVDを併用すると、完全寛解到達率は59%でした。生存期間の中央値は11か月でした。

比較試験ではありませんが、イノツズマブ オゾガマイシン単独よりもよさそうです。

 

それだけでなく、さらにMDアンダーソンがんセンターではイノツズマブ オゾガマイシンにmini-Hyper-CVDリツキシマブと可能であればブリナツモマブも併用した前向き臨床試験を行い2018年後半にその結果が出版されました(Cancer. 2018 Oct 15;124(20):4044-4055).

リツキシマブはCD20が20%以上に陽性の症例に用います。

完全寛解(CR/CRi)到達率は92%になりました。生存期間の中央値は25か月でした(下図)。

急性リンパ芽球性白血病 R-mini-Hyper-CVD + Inotuzumab ± Blinatumomab

比較試験ではありませんが、イノツズマブ オゾガマイシン+mini-Hyper-CVDよりもさらに生存率は高いようです。

とはいえ比較試験が行われていないため、医学的根拠としてはあまり強くはありません。

 

治療抵抗性もしくは再発後の急性リンパ芽球性白血病の新薬治療 その他の新規治療

CD19に対するCAR-T細胞療法がB細胞性の急性リンパ芽球性白血病にも効果があります。「カーティ」とよびます。

CAR-T細胞療法は特定の細胞表面に発現している蛋白(B細胞性急性リンパ芽球性白血病の場合はCD19)を認識して攻撃できるように改変したT細胞による治療です。

CAR-T細胞療法を行うには、まず自分自身のリンパ球を十分量採取します。数時間かかります。

採取したリンパ球は製薬会社の製造施設に搬送され、そこでT細胞を改変し、病院に戻ってきます。この間はおよそ1か月です。

 

CAR-T細胞療法は複数の種類で臨床試験が進んでいますが、2020年12月時点で急性リンパ芽球性白血病に対して使用可能なのはアメリカでも日本でもチサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)になります

チサゲンレクルユーセルをB細胞性急性リンパ芽球性白血病に用いた前向き臨床試験の結果が2018年に出版されています(N Engl J Med. 2018 Feb 1;378(5):439-448).

チサゲンレクルユーセルを投与したのは3歳から23歳までの若年者です。

投与3か月時点で完全寛解に到達したのは81%でした。フローサイトメトリで測定可能残存病変(MRD)が検出されなかったのも81%でした。

チサゲンレクルユーセルに抵抗性あるいはすぐに再発する症例もみられ、1年生存率は76%でした(下図).

急性リンパ芽球性白血病 tisagenlecleucel EFS, OS

重症な有害事象は約90%にみられました。

サイトカイン放出症候群(77%)や神経障害(40%)、感染症(43%)が比較的多くみられました。発熱性好中球減少症は35%にみられました。

腫瘍崩壊症候群は4%とまれでした。

チサゲンレクルユーセルの長期的な結果はまだわかっていません。チサゲンレクルユーセルで治療を行う場合は、同種造血幹細胞移植は前提としていません。

 

ネララビン(商品名:アラノンジー)は、細胞内(特にT細胞内)でara-GTPという物質に変換され、それがDNA合成を阻害して抗腫瘍効果を発揮します。B細胞由来の腫瘍にはほとんど効果はありません。

T細胞性の急性リンパ芽球性白血病に対してネララビンを用いた臨床試験がいくつかおこなわれています。

2011年に比較的規模の大きい前向き臨床試験の結果が出版されました(Blood. 2011 Sep 29;118(13):3504-11)。

治療抵抗性もしくは再発したT細胞性の急性リンパ芽球性白血病を対象として、ネララビンを投与しました。

完全寛解率は36%、ネララビンが効かない症例は52%でした。1年生存率は24%でした。

神経毒性が約15%にみられました。

 

2020年に別の前向き試験の結果が出版されました(Am J Hematol. 2020 Dec;95(12):1466-1472)。

治療抵抗性もしくは再発したT細胞性の急性リンパ芽球性白血病を対象として、ネララビンを投与しました。

完全寛解率は36%、ネララビンが効かない症例は50%でした。1年生存率は37%でした。

ネララビン投与後に同種造血幹細胞移植を行った症例のほうが全生存率は明らかに良好でした(下図).

rr T-ALL ネララビン 移植あり 移植なし OS

 

抗がん剤化学療法との併用も可能ですが、あまり臨床研究はすすんでいません。

MDアンダーソンがんセンターではHyper-CVAD療法とネララビンの併用を、初発の症例を対象に前向き臨床試験で行いました(Leukemia. 2014 Apr;28(4):973-5).

40例と比較的少数の解析でした。完全寛解は91%でした。

 

ネララビンは単独でも、抗がん剤化学療法との併用でも良いでしょう。比較試験はありません。ネララビン単独でも奏効はしますが、あまり高い完全寛解率ではありません。同種造血幹細胞移植などが前提となります

 

フィラデルフィア染色体陽性の症例では、上記の薬剤に加えてチロシンキナーゼ阻害薬が選択肢に入ります。再発や治療抵抗性ではダサチニブポナチニブなどが候補です。抗がん剤化学療法の併用も可能です。

ブリナツモマブイノツズマブCAR-T細胞療法はチロシンキナーゼ阻害薬に不応な場合などに用います。

 

イマチニブに不応となった症例にダサチニブ(商品名:スプリセル)を用いても奏効がみられます。

2007年の前向き臨床試験の結果では、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)に約60%の症例で到達しています(Blood. 2007 Oct 1;110(7):2309-15)。

無増悪生存期間の中央値は3.3か月でした。

 

ダサチニブも効かない症例やT315I変異がある症例にはポナチニブ(商品名:アイクルシグ)を用います。

2013年の前向き臨床試験の結果では、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)に約38%の症例で到達しています(N Engl J Med. 2013 Nov 7;369(19):1783-96).

無増悪生存期間の中央値は3か月でした。

ポナチニブと抗がん剤化学療法を併用すると寛解率は上昇しますが、それでも奏効している期間はあまり長くはありません(Leuk Lymphoma. 2020 Jun 8;1-7).

ダサチニブでもポナチニブでも奏効している期間は短いため、やはり同種造血幹細胞移植などが前提となります。

 

 

再発や治療抵抗性の急性リンパ芽球性白血病は新規治療がすすんでいるとはいえ、奏効期間はあまり長くはありません。可能であれば同種造血幹細胞移植ドナーリンパ球輸注を前提として治療を行うか、もしくはCAR-T細胞療法を行うのがよいでしょう。

再発や治療抵抗性のフィラデルフィア染色体陰性のB細胞急性リンパ芽球性白血病に対しては、イノツズマブ オゾガマイシンR-mini-Hyper-CVD療法を併用し、それにブリナツモマブも必要に応じて用いた治療を行うことを推奨します。さらに可能であれば同種造血幹細胞移植を、移植後再発の場合はドナーリンパ球輸注を行うことを推奨します。

再発や治療抵抗性のフィラデルフィア染色体陽性のB細胞急性リンパ芽球性白血病に対しては、ダサチニブポナチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬を用いた治療を行うことを推奨します。抗がん剤化学療法併用でもよいでしょう。

そして可能であれば同種造血幹細胞移植を、移植後再発の場合はドナーリンパ球輸注を行うことを推奨します。チロシンキナーゼ阻害薬に不応の場合はイノツズマブ オゾガマイシンR-mini-Hyper-CVD療法を併用、それにブリナツモマブです。

それでも再発・治療抵抗性のB細胞急性リンパ芽球性白血病に対しては、若年者(25歳まで)であればCAR-T細胞療法が選択肢になります。

再発や治療抵抗性のT細胞性急性リンパ芽球性白血病にはネララビン単独もしくは抗がん剤化学療法併用を推奨します。可能であれば同種造血幹細胞移植を、移植後再発の場合はドナーリンパ球輸注を行うことを推奨します。

 

2020年12月時点でのアメリカのNCCNガイドライン(NCCN Guidelines)では、再発や治療抵抗性のフィラデルフィア染色体陰性のB細胞急性リンパ芽球性白血病に対してブリナツモマブイノツズマブ オゾガマイシン推奨(カテゴリー1)しています。イノツズマブ+mini-Hyper-CVDも推奨されています(カテゴリー2A)。

いずれの治療でも同種造血幹細胞移植を検討することを推奨しています。

CAR-T細胞療法については26歳未満で治療抵抗性もしくは2回以上の再発例での推奨です(カテゴリー2A)。

フィラデルフィア染色体陽性の場合はチロシンキナーゼ阻害薬±化学療法併用が加わります。T細胞性急性リンパ芽球性白血病ではネララビン±化学療法併用が推奨されています。

 

日本血液学会の2018年造血器腫瘍診療ガイドラインでは、再発や治療抵抗性のフィラデルフィア染色体陰性のB細胞急性リンパ芽球性白血病に対しては、抗がん剤による再寛解導入療法を推奨しています。ブリナツモマブやイノツズマブ オゾガマイシンが補訂版では強く(カテゴリー1)推奨されています。CART療法の記載も補訂版で追記されています。

フィラデルフィア染色体陽性の場合はチロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブかポナチニブを推奨しています。T細胞性急性リンパ芽球性白血病ではネララビンも推奨しています。

 

ブリナツモマブ、イノツズマブ オゾガマイシン、CAR-T細胞療法などの実際の投与スケジュールと注意点については以下の項をご覧ください。

イノツズマブ・R-mini-Hyper-CVD 投与スケジュール 奇数
再発・難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL) 新規抗体薬治療の実際の投与と注意点

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CAR-T細胞療法 サイトカイン放出症候群への対応
再発・難治性急性リンパ芽球性白血病 TKIとCAR-T細胞療法

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まとめ 急性リンパ芽球性白血病の再発・難治性症例の予後と新規治療

● 治療抵抗性や再発症例に対して、初回治療に用いるような抗がん剤治療だけでは難治です。初回完全寛解時に同種移植をしていなければ、同種移植を前提に新規治療をすすめていくことを推奨します。

● 再発や治療抵抗性の場合に治療選択に入る新薬は、B細胞急性リンパ芽球性白血病ではブリナツモマブイノツズマブ オゾガマイシンCAR-T細胞療法です。T細胞性急性リンパ芽球性白血病ではネララビンです。フィラデルフィア染色体陽性ではそれら加えて、ポナチニブダサチニブが入ります。R-mini-Hyper-CVDなどの化学療法も併用すると効果が上がる可能性があります。

● 再発や治療抵抗性の急性リンパ芽球性白血病は新規治療がすすんでいるとはいえ、奏効期間はあまり長くはありません。可能であれば同種造血幹細胞移植ドナーリンパ球輸注を前提として治療を行うか、もしくはCAR-T細胞療法を行うのがよいでしょう。

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NCCNガイドライン(NCCN Guidelines)

2018年造血器腫瘍診療ガイドライン

 

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