急性骨髄性白血病(AML)の2016年改訂WHO分類にもとづく病型分類

2021-04-03

WHO216 急性骨髄性白血病 病型分類

 

急性骨髄性白血病(AML)の診断が確定したら、その中でもどのタイプになるのか「病型分類」を行います。

急性骨髄性白血病には様々なタイプがあり、それによって治療方法も予後も変わってきます。病型分類は重要なプロセスのひとつです。

急性骨髄性白血病の病型分類は診断時にも使用した「2016年改訂WHO分類」を用いて行います。

本項では、2016年改訂WHO分類にもとづく病型分類について解説していきます。

 

急性骨髄性白血病の診断については「急性骨髄性白血病(AML)の診断 診断基準と鑑別診断」をご覧ください。

 

急性骨髄性白血病の病型分類 AML with recurrent genetic abnormalities

急性骨髄性白血病(AML)の診断が確定したら、急性骨髄性白血病の病型分類行います。

同じ急性骨髄性白血病でもその中には様々な病態があり、予後や治療方法もそれによって変わります。

病型分類は染色体・遺伝子検査などの結果などを用いて、2016年改訂WHO分類に基づいて行います(Blood. 2016 May 19;127(20):2391-405)。

年々新しい研究結果がでてきており、病型分類は2008年WHO分類のときとはすでに異なります。病型分類には必ず最新の基準で行うことを推奨します。

それぞれの病型には適切な日本語がまだ定まっていません。実際の診療では病型は英語表記のままのことがおおいです。

 

病期分類の数は20種類以上あります。大きく分けても6種類もあります(下表, Blood. 2017 Jan 26;129(4):424-447).

WHO216 急性骨髄性白血病 病型分類

病型分類は染色体・遺伝子異常の有無からまずは確認していきます。特に予後や治療方法に影響するためです。

特定の染色体・遺伝子異常のある急性骨髄性白血病は「AML with recurrent genetic abnormalities」に分類され、さらにこの中に以下のように11の種類があります。

AML with t(8;21)(q22;q22); RUNX1-RUNX1T1
AML with inv(16)(p13.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22); CEFB-MYH11
APL with t(15;17)(q22;q12), PML-RARA
AML with t(9;11)(p22;q23); MLLT3-KMT2A
AML with t(6;9)(p23;q34); DEK-NUP214
AML with inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2); GATA2, MECOM
AML (megakaryoblastic) with t(1;22)(p13;q13); RBM15-MKL1
AML with BCR-ABL1
AML with mutated NPM1
AML with biallelic mutations of CEBPA
AML with mutated RUNX1

これらの異常のうち、t(8;21), inv(16), t(16;16), t(15;17)は以前より急性骨髄性白血病の中では予後が比較的良い部類とされています。

NPM1CEBPAの変異は比較的新しい病型です。

例えばNPM1遺伝子の変異が検出されれば、AML with mutated NPM1となります。

CEBPA遺伝子については今回の2016年改訂WHO分類から、対立遺伝子の2つとも変異している必要があります。AML with biallelic mutations of CEBPAとなります。

 

2016年改訂WHO分類から、AML with BCR-ABL1AML with mutated RUNX1が追加されています。

急性骨髄性白血病では「AML with recurrent genetic abnormalities」に分類されるタイプが最も多いです。

 

急性骨髄性白血病の病型分類 AML with myelodysplasia-related changesとt-AML

骨髄異形成症候群(MDS)のような特徴を伴う病型は「AML with myelodysplasia-related changes」となります。

AML with myelodysplasia-related changesの定義は少し複雑です。以下のすべてを満たすことが必要です。

MDSMDS/MPNの治療を除いて以前に抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがない
●AML with recurrent genetic abnormalitiesに分類されている染色体・遺伝子異常がない
●以前にMDSもしくはMDS/MPNと診断されている、骨髄異形成関連の染色体異常がある、または少なくとも2系統に50%以上の異形成がある

MDS/MPNは「骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍」です。慢性骨髄単球性白血病(CMML)や非定型慢性骨髄性白血病(aCML)などのことです。

骨髄異形成関連の染色体異常は以下のいずれかになります。

●複雑核型 (AML with recurrent genetic abnormalitiesに分類されている染色体・遺伝子異常がなくて、3つ以上の染色体異常がある)
●-7/del(7q), del(5q)/t(5q), i(17q)/t(17p), -13/del(13q), del(11q), del(12p)/t(12p), idic(X)(q13)のいずれかがある
●t(11;16), t(3;21), t(1;3), t(2;11), t(5;12), t(5;7), t(5;17), t(5;10), t(3;5)のいずれかがある

WHO216 急性骨髄性白血病 病型分類 骨髄異形成関連染色体異常

 

以前にMDSもしくはMDS/MPNと診断されてなく、骨髄異形成関連の染色体異常もない場合は、造血細胞3系統(赤血球、白血球、血小板の系統)のうち少なくとも2系統に50%以上の異形成があることを確認する必要があります(Blood. 2009 Jul 30;114(5):937-51).

 

なお、以前に抗がん剤治療放射線治療を受けたことがある場合の急性骨髄性白血病は、治療関連骨髄性腫瘍(Therapy-related myeloid neoplasms)に分類されます。

治療関連骨髄性腫瘍に分類される急性骨髄性白血病は特に「治療関連急性骨髄性白血病(t-AML)」と呼びます。

 

急性骨髄性白血病の病型分類 その他のAMLの病型

「AML, not otherwise specified」は骨髄系統の芽球が血液中もしくは骨髄中に20%以上あるけれども上記までの病型に該当しない場合の病型です。

以前のFAB分類から継承していますが、FAB分類とは少し異なっています(Ann Intern Med. 1985 Oct;103(4):620-5)。

 

AML, not otherwise specifiedは以下の病型からなります

AML with minimal differentiation
AML without maturation
AML with maturation
Acute myelomonocytic leukemia
Acute monoblastic/monocytic leukemia
Pure erythroid leukemia
Acute megakaryoblastic leukemia
Acute basophilic leukemia
Acute panmyelosis with myelofibrosis

 

AML with minimal differentiationはFAB分類のM0に相当します。FAB分類の中では5%未満とまれでした。

芽球細胞内に顆粒を認めず、ミエロペルオキシダーゼ染色に陰性で、Auer小体も認めないタイプです。骨髄塗抹標本では急性リンパ芽球性白血病(ALL)と区別できません。

AML, not otherwise specifiedの中ではこのAML with minimal differentiationを特に注意して病型診断することをすすめます。予後に影響すると考えられるからです。

 

AML without maturationはFAB分類のM1に相当します。

AML with maturationはFAB分類のM2に相当します。

どちらもミエロペルオキシダーゼ染色に陽性となりますが、成熟した骨髄系統の細胞の割合が異なります。

 

Acute myelomonocytic leukemiaはFAB分類のM4に相当します。

Acute monoblastic/monocytic leukemiaはFAB分類のM5aM5bに相当します。

これらはエステラーゼ染色陽性となりますが、単球や単芽球のような芽球と顆粒球のような芽球の割合が異なります。

 

Pure erythroid leukemiaは赤血球系統の芽球が増加するタイプです。赤白血病という概念に相当します。

FABではM6に相当しますが、基準は他のFAB相当の分類と比べて大きく異なります。

2016年改訂WHO分類では血液中や骨髄中の核のある細胞のうち赤血球系統の幼弱な細胞が80%を超えることと、血液中や骨髄中の核のある細胞のうち前赤芽球が30%以上であることが基準になります。

かまりまれな病型になっています。

 

Acute megakaryoblastic leukemiaはFAB分類のM7に相当します。血小板系統の芽球の増殖と骨髄中の線維化を伴います。

ミエロペルオキシダーゼ染色は陰性です。

FAB分類と異なりAML with myelodysplasia-related changesに分類される症例の割合が多く、かまりまれな病型になっています。

 

Acute basophilic leukemiaは好塩基球様の芽球がふえるタイプです。極めてまれです。

Acute panmyelosis with myelofibrosisは骨髄中の線維化と同時に3系統の幼弱な芽球が増多しているタイプです。かなりまれな病型です。髄外造血はありません。

 

AML, not otherwise specifiedでFABに相当するものは特にM0の区別が必要です。

M0だけは他のFAB相当のものより予後が悪いと考えられるためです。

2013年に出版された大規模研究の結果、FABのM0はM1, 2, 4~6と比べ明らかに全生存率が低下していました(下図Blood. 2013 Mar 28;121(13):2424-31).

急性骨髄性白血病 FAB分類別 全生存率

M1, 2, 4~6の全生存率はどれもあまり変わりありませんでした。M7はかなりまれで症例数が少なかったことから解析対象外とされました。

 

その他にもまれですが、血液中や骨髄中の芽球が20%未満でも体のどこかに急性骨髄性白血病細胞の腫瘤(骨髄肉腫)がある場合は、芽球の割合にかかわらず急性骨髄性白血病となり、病型は「骨髄肉腫(Myeloid sarcoma)」となります。

 

 

ダウン症候群の症例では、新生児期に芽球が増加することがあります。「Transient abnormal myelopoiesis (TAM)」と呼ばれる状態です。

通常は無治療で経過をみているうちに芽球は減っていきますが、その後、急性骨髄性白血病を発症することがあります。

2016年改訂WHO分類ではダウン症候群で急性骨髄性白血病の診断基準を満たす症例は「Myeloid proliferations related to Down syndrome」に分類され、その中で「Transient abnormal myelopoiesis (TAM)」と「Myeloid leukemia associated with Down syndrome」に分けています。

なお、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)は2016年改訂WHO分類より急性骨髄性白血病には分類されません。

 

次項では急性骨髄性白血病の染色体異常と予後の関連について解説します。

MRC NCRI, 染色体別 全生存
急性骨髄性白血病(AML)の染色体異常と予後

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まとめ 急性骨髄性白血病の2016年改訂WHO分類にもとづく病型分類

● 急性骨髄性白血病(AML)の診断が確定したら、急性骨髄性白血病の病型分類を2016年改訂WHO分類に基づいて行います。特定の染色体・遺伝子異常のある急性骨髄性白血病は「AML with recurrent genetic abnormalities」のいずれかになります。

● 骨髄異形成症候群(MDS)のような特徴を伴う病型は「AML with myelodysplasia-related changes」となります。以前に抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがある場合は、治療関連骨髄性腫瘍(Therapy-related myeloid neoplasms)に分類されます。

● その他にも「AML, not otherwise specified」、「骨髄肉腫(Myeloid sarcoma)」、「Myeloid proliferations related to Down syndrome」があります。

参考文献

Daniel A Arber, Attilio Orazi, Robert Hasserjian, et al.
The 2016 revision to the World Health Organization classification of myeloid neoplasms and acute leukemia.
Blood. 2016 May 19;127(20):2391-405.

Hartmut Döhner, Elihu Estey, David Grimwade, et al.
Diagnosis and management of AML in adults: 2017 ELN recommendations from an international expert panel
Blood. 2017 Jan 26;129(4):424-447.

James W Vardiman, Jüergen Thiele, Daniel A Arber, et al.
The 2008 revision of the World Health Organization (WHO) classification of myeloid neoplasms and acute leukemia: rationale and important changes
Blood. 2009 Jul 30;114(5):937-51.

J M Bennett, D Catovsky, M T Daniel, et al.
Proposed revised criteria for the classification of acute myeloid leukemia. A report of the French-American-British Cooperative Group
Ann Intern Med. 1985 Oct;103(4):620-5.

Roland B Walter, Megan Othus, Alan K Burnett, et al.
Significance of FAB subclassification of "acute myeloid leukemia, NOS" in the 2008 WHO classification: analysis of 5848 newly diagnosed patients
Blood. 2013 Mar 28;121(13):2424-31.

 

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