急性骨髄性白血病(AML)の症状と発症頻度

急性骨髄性白血病 細胞起源 発生

 

急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia, AML)は、血液細胞の中の白血球のような細胞が腫瘍性に増殖する疾患(白血病)の一種になります。

急性骨髄性白血病は急速に腫瘍細胞が増殖するため、発病してからの進行も早く比較的急速に様々な症状を引き起こしていきます。

具体的には倦怠感、易疲労感、出血、発熱などです。本項では、これらの急性骨髄性白血病の症状について様々な医学文献を参照にしながら解説していきます。

また急性骨髄性白血病の頻度や発病年齢などについても解説しています。

 

急性骨髄性白血病とは?

急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia, AML)は、血液の細胞の一種である白血球のような細胞が腫瘍性に増殖する疾患(白血病)のひとつです。

白血病の中でも急性骨髄性白血病は、血液を造るもとの細胞である「造血幹細胞」に近い細胞が腫瘍化して起こる疾患とされています。

 

正常な白血球は骨の中(骨髄)である程度まで成熟してから血液中に流れていきますが、急性骨髄性白血病では血液の成熟過程の比較的初期の段階の細胞が何らかの原因で腫瘍化し急速に増殖すると考えられています(下図 Genes Chromosomes Cancer. 2019 Dec;58(12):850-858.)。

急性骨髄性白血病 細胞起源 発生

 

増殖する腫瘍細胞は全てが同じような細胞というわけではなく、成熟過程を少しだけ進んでいく細胞も存在します。

これらの細胞がどんどん増えていき骨髄中だけでなく、血液中や各臓器にも広がっていきます。

急性骨髄性白血病ではこれら腫瘍細胞は幼弱な白血球(骨髄芽球)に形態が似ていますが、正常な骨髄芽球と異なり急性骨髄性白血病細胞は正常な細胞ではありませんのでおかしな形態であることが多いです。

 

発生してから増殖し症状を呈するまでの期間が比較的短いため「急性」となります。数か月前の健康診断では何も問題なかったのに急性骨髄性白血病と診断された、ということがよくあります。

 

急性骨髄性白血病の症状

急性骨髄性白血病は発症したら急速に腫瘍細胞が増殖し、様々な症状を引き起こします。

急性骨髄性白血病の症状もまた比較的急速に進行します。

 

最初は「何となくだるい」から始まって、徐々に「すぐ疲れる」「階段を上がるのも苦労する」という状態になってきます。

これらは赤血球が減少していくことからおこる「貧血」の症状と言えます。白血病細胞そのものによる作用も関与します(Cancer. 2005 Aug 15;104(4):788-93)。

ひどくなってくると、認知症のような症状も呈することがあります。

 

急性骨髄性白血病では赤血球だけでなく正常な白血球血小板も減少します。

正常白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなります。

感染症になると正常な白血球が少ないため高熱になりやすいです。感染から身を守るための正常な白血球が少ないため重症化しやすく、早めに抗菌薬投与を開始しないと生命に影響します。

通常の感染症よりも症状が強いことが多く、病院を受診すると重症感があることから採血検査が行われることになります。

採血の結果、赤血球や血小板、正常白血球の異常な低下がみられます。また多くの症例で血液中に白血病細胞がみられます。

この時点で急性骨髄性白血病などが疑われます。

 

血小板がすくなくなれば出血しやすくなります。手足に点状出血という出血が起こることがあります。

急性骨髄性白血病では皮膚へ腫瘍細胞が浸潤することが時々あります。点状出血と異なり、おかしな斑点結節のようなものができることがあります(J Am Acad Dermatol. 1999 Jun;40(6 Pt 1):966-78, Blood. 2011 Oct 6;118(14):3785-93)。

この皮膚浸潤は痛みを伴うこともあります。

 

急性骨髄性白血病ではリンパ節が腫大することが時々あります(Blood. 1980 Jan;55(1):71-6, N Engl J Med. 2008 May 1;358(18):1909-18).

リンパ節にも白血病細胞が浸潤している可能性がありますが、感染症などのためにリンパ節が腫大しているだけのこともあります。痛みを伴うこともあります。

同様に肝臓や脾臓にも白血病細胞が浸潤することよくあります。診察の際に肝臓や脾臓が大きくなっていることを指摘できることが約40%であります(Blood. 1980 Jan;55(1):71-6, N Engl J Med. 2008 May 1;358(18):1909-18).

 

頻度はかなり下がりますが、これらの臓器以外にも歯茎などどこにでも浸潤することがあります(下図, Blood. 2011 Oct 6;118(14):3785-93)。

急性骨髄性白血病 骨髄肉腫 PET-CT

 

その他の症状として腫瘍細胞が骨の中で増えることによる腰痛・背部痛があったり、関節痛があったりと、症状からは急性骨髄性白血病とまずわからないものもあります。

 

これらの症状および採血検査で急性白血病が疑われた時点で、血液内科の専門的対応が可能な病院に直ちに受診するように言われます。

 

比較的大きな病院に受診することになりますが、できれば血液内科が有名な病院にしておくとよいでしょう。可能であればこの時点で同種造血幹細胞移植をできる病院にしておくことを推奨します。

 

 

急性骨髄性白血病はどのくらいの頻度?

一般的に白血病というと、この急性骨髄性白血病を思い浮かべるかもしれませんが、実際の頻度はどうなのでしょうか?

 

急性骨髄性白血病は白血病全体の約30~40%です。急性白血病の中では約80%になります(Cancer Causes Control. 2008 May;19(4):379-90)。

白血病には慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病などがあります。白血病といっても急性骨髄性白血病がほとんどというわけではありません。

 

この急性骨髄性白血病は、血液内科の悪性腫瘍の中では比較的多くみられます。

年間の発症率は人口10万人あたり3~5人とされていますが、高齢化の進行により徐々に増えてきています(Blood. 2010 Nov 11;116(19):3724-34, Br J Cancer. 2011 Nov 22;105(11):1684-92, Leukemia. 2016 Jan;30(1):24-31)。

というのも急性骨髄性白血病は比較的高齢者に発症しやすく、発症年齢の中央値は約65~70歳とされています(Blood. 2009 Apr 16;113(16):3666-72, Br J Cancer. 2011 Nov 22;105(11):1684-92, Blood. 2012 Jan 5;119(1):34-43, Leukemia. 2016 Jan;30(1):24-31)。

急性骨髄性白血病は高齢者ばかりが発症するわけではなく若年者でも発症します。

若年者に発症する悪性腫瘍としては、急性骨髄性白血病の頻度は高めになります(下図, Br J Cancer. 2000 Apr;82(8):1387-92).

急性骨髄性白血病 発症年齢

 

男女での発症頻度に大きな違いはありませんが、男性のほうがわずかに発症しやすく、男女比50~55%:45~50%になります(Br J Cancer. 2011 Nov 22;105(11):1684-92, Br J Haematol. 2013 Aug;162(4):509-16, Cancer. 2018 Oct 1;124(19):3856-3867).

 

人種差も少しあり、アジア太平洋地域の島国系統では少し頻度が高くなります(Cancer Causes Control. 2008 May;19(4):379-90)。この中には日本も含まれます。

 

その他、抗がん剤治療放射線照射などの影響でのちのち急性骨髄性白血病を発症しやすくなります。

 

次項では急性骨髄性白血病の血液検査・骨髄検査について解説します。

急性骨髄性白血病 骨髄生検 HE x100
急性骨髄性白血病(AML)の血液検査・骨髄検査

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まとめ 急性骨髄性白血病(AML)の症状と発症頻度

急性骨髄性白血病は、血液を造るもとの細胞である「造血幹細胞」に近い細胞が腫瘍化して起こる白血病の一種です。

● 急速に腫瘍細胞が増殖することにより様々な症状を引き起こしますが、倦怠感、易疲労感、出血、発熱などの症状がでやすいです。血液検査で急性白血病が疑われたら血液内科の専門的対応が可能な病院に直ちに受診するように言われます。

● 急性骨髄性白血病は白血病全体の約30~40%です。年間の発症率は人口10万人あたり3~5人、発症年齢の中央値は約65~70歳です。

参考文献

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