びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)再発に対するR-GDP療法の実際と注意点

R-GDP療法 スケジュール

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)再発症例に対する化学療法の一つにR-GDP療法があります。

再発症例に対する自家造血幹細胞移植の前に行う化学療法は何が良いかについては「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL) 再発後の化学療法は何がよいか?」をご覧ください。

本項ではR-GDP療法の実際の投与スケジュールと注意点について解説します。

R-GDP療法は他の治療とくらべて効果は同等有害事象が少なく外来通院でも可能であることが利点です。

実際に臨床試験で行われたスケジュールとその時発生した有害事象に基づいて解説していきます。

 

再発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するR-GDP療法のスケジュール

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)再発した場合に、自家造血幹細胞移植にむけて行う化学療法にR-GDP療法があります(J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6)。

 

R-GDP療法を行う前に必要な検査がいくつかあります。

腎機能肝機能の確認が必要です。採血や24時間蓄尿検査がおこなわれます。

腎機能が低下している場合は、シスプラチンの減量を検討します。肝機能が低下している場合は、ゲムシタビンの減量を検討します。

R-GDP療法を開始する前に、B型肝炎の既往を再確認します。

血糖値の確認もあらかじめ行います。R-GDP療法により一時的に血糖値が上昇する可能性があります。

 

R-GDP療法は以下のようなスケジュールで行います(下図)。

R-GDP療法 スケジュール

リツキシマブは各サイクルの初日に投与します。

ゲムシタビンは初日と8日目に投与します。およそ30分間の点滴です。

デキサメタゾンは4日間の内服です。

シスプラチンは初日に投与します。およそ1時間で投与します。

シスプラチンによる腎機能障害を防ぐために、各サイクルの初日には輸液が数時間加わります。

 

R-GDP療法は2~3サイクル行います。1サイクルは21日間です。

リツキシマブ投与前に輸注反応に備えてアセトアミノフェンや抗ヒスタミン薬の内服を行います。

重症な悪心・嘔吐が約7%に発生します。制吐剤の投与もあらかじめ予防として十分に投与し重症な悪心・嘔吐の発生率を低下させます。

胃炎の予防としてプロトンポンプ阻害薬を内服することがあります。

 

R-GDP療法は外来でも可能ですが、1サイクル目は入院して行うことを推奨します。

以下の「輸注反応」「腫瘍崩壊症候群」の可能性があるためです。

 

再発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するR-GDP療法 1サイクル目の注意点

R-GDP療法の1サイクル目が最も有害事象が発生しやすいです。

リツキシマブの前回の投与から長期間経過している場合、リツキシマブの再投与時に「輸注反応」を起こすことがあります。発熱や悪寒などに1サイクル目は特に注意してください。

 

「腫瘍崩壊症候群」は再発後の化学療法1サイクル目でも発生することがあります。

R-GDP療法はそもそも輸液の多い治療ですが、それに加えて輸液を追加します。1日の輸液量は初発時と同様、合わせて4Lくらいになります。それが数日間続きます。

腫瘍崩壊症候群の懸念がある間は、採血も連日行います。状況によっては1日に数回の採血を行うことがあります。

尿酸を低下させる薬剤を併用することもあります。

 

R-GDP療法はR-DHAP療法などと比べて、血球数の低下は軽度になります。

全サイクルで好中球数が低下した状態での発熱(発熱性好中球減少症)が発生するのは1割弱とされます。予防抗生剤や予防G-CSF製剤の投与は通常は必要ありません。

好中球数が大きく低下する場合はG-CSF製剤の投与を検討します。

R-GDP療法では持続型のG-CSF製剤(ペグフィルグラスチム)の投与は行いません。

赤血球輸血血小板輸血をが必要となる割合もR-DHAP療法などと比べて少なくなります。

最初の2サイクルが終了するまでに血小板輸血が必要になる症例は臨床試験では約20%でした。

好中球数や血小板数が下がる可能性に注意が必要です。

 

8日目のゲムシタビン投与日に好中球数が500/μL未満、あるいは血小板数が50000/μL未満のばあいは、8日目のゲムシタビン投与は中止します。好中球数500未満であればG-CSF製剤を開始します。

8日目の血小板数が50000~75000/μLの場合は次サイクルのゲムシタビンの投与量を調整します。

8日目のビリルビンの上昇が著しい場合は、ゲムシタビンの投与は中止します。

 

1サイクル目で重症な有害事象が発生しなければ、8日目前後には退院可能です。

 

再発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するR-GDP療法 通院で継続するときの注意点

投与開始10~15日ごろが最も血球数が低下します。

もしも発熱した場合は早めに受診することを推奨します。発熱性好中球減少症の場合は重症化することがありますので、早めの対応が重要です。

投与開始2週間後くらいから脱毛がおこります。

R-GDP療法では重症な血栓症が6%に発生します。血小板数が下がる懸念もあるため、血栓症の予防投薬は行いません。

片脚だけむくむなどおかしな症状が発生したら担当医へ伝えてください。

 

生ものの摂取は必ずしも禁止というわけではありません。生もの禁止にして感染率が低下するなどの医学的な根拠はありません。

各施設や担当医の判断にしたがってください。

 

通常は2サイクル目以降の投与は外来で行います。

2サイクル目や3サイクル目の初日の血球数の結果で投与開始を1週間延期させることがあります。

開始に必要な血球数は、好中球数1000/μL、血小板数75000/μLが目安です。

各サイクルの初日は輸液が多いですが、数日間の十分な水分摂取も外来投与の場合は推奨されます。

2~3サイクルが終了したところ(サイクルのおよそ21日目ごろ)でPET-CT検査が行われ、その後の治療方針が決定します。

この間に腫瘍が増大していくこともありますので、画像検査でなくてもわかる腫瘤については治療期間中の大きさを確認してください。

 

R-GDP療法は比較的有害事象の少ない治療です。外来でも多くの場合で大きな有害事象は発生せずに継続可能です。

入院期間が長いと筋力の低下が懸念されますが、R-GDP療法ではずっと入院している必要もありません。

今後の自家造血幹細胞移植に向けて体力をつけていきましょう。

 

まとめ びまん性大細胞型B細胞リンパ腫再発に対するR-GDP療法の実際と注意点

R-GDP療法の1サイクルは21日間です。R-GDP療法は外来でも可能ですが、1サイクル目は入院して行うことを推奨します。

● リツキシマブの再投与時に「輸注反応」が発生する可能性があります。1サイクル目は「腫瘍崩壊症候群」の発生にも注意が必要です。

● R-GDP療法で発熱性好中球減少症が発生するのは1割弱とされます。もしも発熱した場合は早めに受診することを推奨します。

参考文献

Michael Crump, John Kuruvilla, Stephen Couban, et al.
Randomized comparison of gemcitabine, dexamethasone, and cisplatin versus dexamethasone, cytarabine, and cisplatin chemotherapy before autologous stem-cell transplantation for relapsed and refractory aggressive lymphomas: NCIC-CTG LY.12.
J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6.


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