びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ PET-CTとLugano分類

2020-08-11

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 骨髄浸潤 HE CD20 100

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断が濃厚になった時点、あるいは診断が確定した時点で、病変の広がりの度合い(ステージ)を決定させる必要があります。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の病変がどのくらい全身に広がっているかによって治療方法が変わるからです。

本項では、ステージ分類に必要な検査(PET-CT, 骨髄検査など)とステージ分類の基準(Lugano分類)について解説します。Lugano分類は他の悪性リンパ腫でも共通して用いられます。

どのような検査を行うのか、どのように結果を解釈しステージ分類を行うのかについて、臨床研究の文献を参照しつつ解説していきます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 ステージ決定のための検査 PET-CT

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の病変がどのくらい全身に広がっているかによって治療方法が変わってきます。

病変の広がりの度合いを「ステージ」といい、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では1から4段階まであります。

ステージ1や2を「限局期」、ステージ3や4を「進行期」と呼びます。

治療開始前に正確にステージを確認することが重要です。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断前に全身のCT検査をすでに行っていると思われますが、それに加えていくつか行ったほうがよい検査があります。

 

PET-CT検査はステージを確定させるために重要な検査です。

時間的猶予からPET-CT検査を行う余裕がない場合もありますが、PET-CT検査は病変の広がりを通常のCT検査よりも正確に行うことができますので、可能であれば治療開始前に行うことを推奨します。

PET検査では18F-FDGというとよく似た放射性物質を使用します。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は糖を強く取り込みますので、18F-FDGがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の病変部位に集積します。

PET-CTPETCTの結果を融合させたもので、通常のCT単独あるいはPET単独よりも病変の部位が正確にわかります(Clin Nucl Med. 2017 Aug;42(8):595-602)。

下図はCTとPETとPET-CTの結果の一例です(J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3048-58)。

CT, PET, PET-CT 悪性リンパ腫 画像

PET-CT(右)では集積するはずのない場所に赤い集積が2か所みられています(矢印)。真ん中のPET画像で強く集積している場所と同じ部位です。

CT(左)だけよりもPET-CT(右)のほうが病変がわかりやすいです。

下図も別のリンパ腫の一例です(J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3048-58)。

CT, PET, PET-CT 悪性リンパ腫 画像 2

PET-CT(右)の画像の矢印の箇所が病変になります。明らかにCTよりもPET-CTのほうが病変の箇所がわかりやすいです。

 

治療開始前のPET-CT検査を行っておくと、治療後の効果判定のPET-CT検査の結果の精度が上がります(Mol Imaging Biol. 2010 Apr;12(2):225-32)。

2010年に報告された研究では、核医学専門医が治療後のPET画像だけをみて効果判定し、その後に治療前と治療後のPET画像を見比べて再度効果判定したところ、判定を変更した症例が34%もみられました。

可能であれば治療開始前にPET-CTを行うことを推奨します

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 ステージ決定のための検査 骨髄検査など

PET-CTでは骨の内部(骨髄)の病変を検出できますが、PET-CTで骨髄の病変がない場合は、骨髄検査を行うことを推奨します。

骨髄検査とは、骨の内部である「骨髄」に針をさして病変の有無を調べる検査です。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は診断時点でおよそ10%~30%の症例で骨髄にリンパ腫細胞が入り込んでいます。

骨髄検査は痛みのある検査ですが重要な検査です。

 

骨髄中の液体を吸引する検査「骨髄穿刺吸引」と骨髄組織を取り出す検査「骨髄生検」を行います。数回針を刺すことになります。

骨髄検査(骨髄穿刺吸引+骨髄生検)そのものは10分~15分で終了します。骨髄浸潤の確認のためには骨髄穿刺だけでなく骨髄生検も行う必要があります。

骨髄検査についての詳細は、「骨髄検査(骨髄穿刺吸引・骨髄生検)の手技の実際 痛みや安全性は?」をご覧ください。

 

骨髄検査も、診断のときの検査と同様に病理・フローサイトメトリ・遺伝子検査などに提出します。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞が確認されれば、骨髄浸潤が確定します(下図 HE染色とCD20染色 骨髄浸潤あり)。

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 骨髄浸潤 HE CD20 100

骨髄中に検出された時点で、全身の骨の中にリンパ腫細胞がすでに広がっている状態と判断します。

 

PET-CTが陰性でも骨髄検査で病変が検出される場合があります

骨髄検査のほうがPET-CTよりも骨髄中の病変の検出・評価が正確にできます(Cancer Med. 2017 Nov;6(11):2507-2514)。

2017年に報告された研究では、PET-CTで骨髄浸潤をみるよりも、骨髄検査で骨髄浸潤を見たほうが無増悪生存期間の予測が正確でした(下図 左 PET-CT、右 骨髄検査)。

PFS PET-CT vs 骨髄検査

PET-CTで骨髄浸潤がみられなくても、骨髄検査も行い浸潤の有無を確認することを推奨します。

 

 

ここまでの検査で骨髄浸潤やリンパ節以外の臓器への浸潤などがあれば、中枢神経系(脳や脊髄)の病変の精査も行います。MRI検査脳脊髄液検査です。

MRI検査は閉所恐怖症の人には行うことが難しいかもしれません。

脳脊髄液検査は腰椎穿刺といって、背骨である腰椎と腰椎の間を細い針で刺して、その中を流れる脳脊髄液という液体を採取する検査によって行います。

痛みはそれほどでもありませんが、時間がかかります。検査後によく頭痛が起こります。

どのようにして行うのかについては、こちらも映像を見たほうがわかりやすいです。下のYoutube動画をご確認ください。

 

上記の各種検査の結果からステージを確定させていきます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ分類の基準 Lugano分類

Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma

ステージ決定は2014年に出版されたLugano分類に基づいて行います(J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3059-68). 

昔はAnn Arbor分類という1970年代に提唱された基準を使っていました(Cancer Treat Rep. 1977 Sep;61(6):1023-7)。主にCT検査でステージを決定していました。

2011年には国際的なコンセンサスとしてPET-CTをステージに用いることが提唱されました(J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3048-58)。

2014年に国際的なコンセンサスとして「Lugano分類」が提唱されました。PET-CTを用いたステージ分類の基準となりました。以降、ステージ分類はLugano分類を用います。

予後予測の観点からもLugano分類のほうがAnn Arbor分類よりもよいです。

悪性リンパ腫 Lugano分類

Lugano分類では病変が1か所だけの場合、「ステージ1」となります。リンパ節でない箇所の場合は「ステージ1E」です。

病変が2つ以上のリンパ節にみられる場合は、横隔膜より頭側もしくは足側のどちらかだけに見られれば「ステージ2」です。病変がリンパ節外にも浸潤して周りの臓器に直接浸潤している場合は「ステージ2E」となります。巨大病変があれば「ステージ2 bulky」となります。巨大病変はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では7~7.5cm以上です。

病変が2つ以上のリンパ節にみられ、横隔膜より頭側にも足側にもある場合は「ステージ3」です。

病変がリンパ節だけでなく、リンパ節ではない組織に非連続的に浸潤していたら「ステージ4」となります。

 

ステージは1から4までありますが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では60~70%以上の症例でステージは3か4です。多くの場合は最初から病気は全身に広がっていると言えます。

Ann Arbor分類ではB症状(発熱、体重減少、夜間の大量発汗)の有無でAとBにさらに分けていましたが、B症状は治療効果や予後にはあまり関係ないこと、そもそもB症状の有無が不正確であることが多かったことから、Lugano分類ではAとBは撤廃されています。

 

まとめ びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ PET-CTとLugano分類

「ステージ」は1から4段階まであります。ステージ1や2を「限局期」、ステージ3や4を「進行期」と呼びます。PET-CT検査はステージを確定させるために重要な検査です。可能であれば治療開始前にPET-CTを行うことを推奨します。

● PET-CTで骨髄の病変がない場合は骨髄検査を行うことを推奨します。PET-CTが陰性でも骨髄検査で病変が検出される場合があります。「骨髄穿刺吸引」「骨髄生検」を行います。

● ステージ決定はLugano分類に基づいて行います。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では60~70%以上の症例でステージは3か4です。

参考文献

Nieves Gómez León, Roberto C Delgado-Bolton, Lourdes Del Campo Del Val, et al.
Multicenter Comparison of Contrast-Enhanced FDG PET/CT and 64-Slice Multi-Detector-Row CT for Initial Staging and Response Evaluation at the End of Treatment in Patients With Lymphoma
Clin Nucl Med. 2017 Aug;42(8):595-602.

Sally F Barrington, N George Mikhaeel, Lale Kostakoglu, et al.
Role of Imaging in the Staging and Response Assessment of Lymphoma: Consensus of the International Conference on Malignant Lymphomas Imaging Working Group
J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3048-58.

Henriette Quarles van Ufford, Otto Hoekstra, Marie de Haas, et al.
On the Added Value of Baseline FDG-PET in Malignant Lymphoma
Mol Imaging Biol. 2010 Apr;12(2):225-32.

Tzu-Hua Chen-Liang, Taida Martín-Santos, Andrés Jerez, et al.
Bone marrow biopsy superiority over PET/CT in predicting progression-free survival in a homogeneously-treated cohort of diffuse large B-cell lymphoma
Cancer Med. 2017 Nov;6(11):2507-2514.

S A Rosenberg
Validity of the Ann Arbor Staging Classification for the non-Hodgkin's Lymphomas
Cancer Treat Rep. 1977 Sep;61(6):1023-7.

Sally F Barrington, N George Mikhaeel, Lale Kostakoglu, et al.
Role of Imaging in the Staging and Response Assessment of Lymphoma: Consensus of the International Conference on Malignant Lymphomas Imaging Working Group
J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3048-58.

Bruce D Cheson, Richard I Fisher, Sally F Barrington, et al.
Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: the Lugano classification.
J Clin Oncol. 2014 Sep 20;32(27):3059-68.

 

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