びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL) 症状と発症頻度

2020-08-06

非ホジキンリンパ腫 頻度

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)悪性リンパ腫の中でも最も多いタイプの悪性疾患です。

本項では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは何か、診断時はどのような症状が多いか、頻度はどのくらいあるのかについて記載しています。

よくある疑問として、どんな症状から悪性リンパ腫、とくにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が疑われるのか、そもそもびまん性大細胞型B細胞リンパ腫はどこから発生するのか、何か原因があるのか、ということがあります。

そのような疑問に医学文献を参照しつつ解説していきます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは 病気の発生と原因

人間の体内には白血球という、感染症などへの免疫として機能する細胞があります。白血球の中には好中球リンパ球単球などがあります。

悪性リンパ腫とは、白血球の一部であるリンパ球由来の細胞が悪性に増殖する疾患です。悪性リンパ腫にも種類がいくつもあり、数十種類にもなります。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫のなかでも最も多いタイプの悪性腫瘍疾患です。

リンパ球の中のB細胞と呼ばれるものは、「抗体」を産生したり、「サイトカイン」を放出したり、「抗原の情報を提示」したりすることではたらいています(下図 Blood. 2008 Sep 1;112(5):1570-80)。

B細胞 はたらき

このB細胞由来と考えられる細胞が悪性腫瘍化した疾患は「B細胞リンパ腫」と呼ばれます。

B細胞リンパ腫の代表はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫ですが、ほかにも濾胞性リンパ腫慢性リンパ性白血病辺縁帯リンパ腫など多数あります。

 

同じB細胞リンパ腫でも悪性化する過程でどの種類のリンパ腫になるかがきまってきます。

それぞれのB細胞リンパ腫で、症状や進行速度だけでなく、治療方法や予後も変わってきますので、B細胞リンパ腫の中でもどのタイプなのか区別することが重要です。

 

何が原因で、B細胞リンパ腫が発生するのかについては原因がわからない場合がほとんどです。HIV感染などB細胞リンパ腫を起こしやすくなるものがありますが、大多数の症例では原因は不明です。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の症状 B症状とは

全身のリンパ節びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の症状として、比較的特徴的なのは「しこり」を触れることです。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のしこりは、週ごとにどんどん大きくなっていきます。

首、わき、脚の付け根などにはリンパ節が腫れたときに触れやすいので、ここに「しこり」ができたときは悪性リンパ腫が疑われます。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のしこりは、通常痛みはありません硬めのゴムのようなしこりです。

 

リンパ球はリンパ管や血管を通じて全身をめぐっています。悪性リンパ腫の腫瘍はどこにでも塊をつくることができます。

たとえば胃や腸などの消化管にもリンパ組織は存在しますし、ここにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫がしこりを形成することもあります。

このようにリンパ節ではない場所に病変をつくる場合を「節外」病変と言います。

節外病変は消化管が最も多く発生しやすいのですが、脳、皮膚、乳腺など体のどこにでも発生する可能性があります。節外病変はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫症例の約40%にみられます。

まれに、別の理由でたまたまCT検査などを行ったら、しこりがみつかったということもあります。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で比較的おこりやすい症状として「B症状」というものがあります。およそ30%の症例に診断時点でみられます。以下の症状です。

 ●38℃を超える発熱

 ●6か月以内に10%をこえる原因不明の体重減少

 ●夜間の大量発汗

しこりやB症状は悪性リンパ腫だけでなく、感染症や別の悪性腫瘍でもありえます。これらだけで悪性リンパ腫と強く疑うことはできません。

 

採血では乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇が半数以上にみられます。

LDHというのは体内のどの細胞にも含まれる酵素です。赤血球や肝臓の細胞などありとあらゆる細胞に含まれます。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では体内の腫瘍量が多くなると、LDHが上がりやすくなります。

しかしながら、LDHはいろいろな疾患で上昇するため悪性リンパ腫を強く疑う根拠にはできません。診断にはほとんど役に立ちません。

 

可溶性IL-2受容体はしばしば悪性リンパ腫の腫瘍マーカーと言われます。

IL-2というのはサイトカインの一種です。リンパ系細胞にはIL-2の受容体が発現していますが、細胞から離れて血中に放出されることがあります。

血中の可溶性IL-2受容体は、悪性リンパ腫で上昇することが知られています。

しかしながら、可溶性IL-2受容体も感染症や膠原病などいろいろな疾患で上昇するため悪性リンパ腫を強く疑う根拠にはできませんし、診断にはほとんど役に立ちません。

 

症状などからびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が疑われたら、CTなどの画像検査を行います。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断するためには、「しこり」を採取してよく調べる必要があります。「しこり」を診断のために切除することを「生検」といいます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は発症したら急速に増殖し、リンパ節が大きくなるだけでなく、体内の他の臓器にも入り込み破壊していきます。放置していると数か月のうちに重篤な状態になります。

発症したら、早めに診断し、適切な治療を行うことが重要です。治療によって多くの場合、すみやかに良好な奏効を得ることができます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の発症頻度 悪性リンパ腫では最多

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫悪性リンパ腫の中では最も頻度の高い疾患です。ホジキンリンパ腫を除く悪性リンパ腫のおよそ25~35%になります(下図 青 Am J Hematol. 2015 Sep;90(9):790-5)。

非ホジキンリンパ腫 頻度

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の次に、慢性リンパ性白血病/小細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫とつづきますが、アジア系では濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小細胞リンパ腫とつづきます(Am J Hematol. 2015 Sep;90(9):790-5)。

その次には、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫と続きます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の年間の発症率10万人に約5~7人です。この数字は血液内科の疾患では頻度は高めです。

発症者の年齢の中央値は約65歳であり、比較的高齢者に多い疾患です。男性のほうが女性よりおよそ1.3倍多いです(Cancer Med. 2018 Jan;7(1):114-122)。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は治療の時に、限局期進行期にわけますが、およそ60%の症例で診断時には進行期です(Cancer Med. 2018 Jan;7(1):114-122).

血管やリンパ管を通してリンパ球は全身をめぐっていますので、診断時点で体のどこにでも腫瘤を形成していてもおかしくはないのです。

 

次項ではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断、病理所見、鑑別診断について解説します。

 

まとめ びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 症状と発症頻度

● B細胞由来の細胞が悪性腫瘍化した疾患は「B細胞リンパ腫」と呼ばれます。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はB細胞リンパ腫の代表疾患です。B細胞リンパ腫が発生する原因は大多数の症例で不明です。

● びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の症状として比較的特徴的なのは「しこり」を触れることです。週ごとにどんどん大きくなっていきます。通常痛みはありません節外病変を形成することもあります。約30%の症例でB症状がみられます。

● びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は悪性リンパ腫の中では最も頻度の高い疾患です。ホジキンリンパ腫を除く悪性リンパ腫のおよそ25~35%になります。年間の発症率は10万人に約5~7人で、血液内科の疾患では頻度は高めです。

参考文献

Tucker W LeBien, Thomas F Tedder
B lymphocytes: how they develop and function
Blood. 2008 Sep 1;112(5):1570-80.

A clinical evaluation of the International Lymphoma Study Group classification of non-Hodgkin's lymphoma. The Non-Hodgkin's Lymphoma Classification Project.
Blood. 1997 Jun 1;89(11):3909-18.

Al-Hamadani M, Habermann TM, Cerhan JR, et al.
Non-Hodgkin lymphoma subtype distribution, geodemographic patterns, and survival in the US: A longitudinal analysis of the National Cancer Data Base from 1998 to 2011.
Am J Hematol. 2015 Sep;90(9):790-5.

Jorne Biccler, Sandra Eloranta, Peter de Nully Brown, et al.
Simplicity at the Cost of Predictive Accuracy in Diffuse Large B-cell Lymphoma: A Critical Assessment of the R-IPI, IPI, and NCCN-IPI
Cancer Med. 2018 Jan;7(1):114-122.


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