濾胞性リンパ腫(FL) 再発、難治性、および形質転換の治療

2019-10-13

濾胞性リンパ腫 骨髄浸潤 HE

 

初回治療終了後に長期間病勢が抑えられていたとしても濾胞性リンパ腫(FL)はしばしば再発します

本項では症状を伴う再発濾胞性リンパ腫(部分奏効に到達したが、再発し治療開始基準も満たしている)、もしくは難治性濾胞性リンパ腫(化学療法6~8コース行っても部分奏効に到達しない)となった場合の治療について解説します。

再発・難治性の濾胞性リンパ腫の治療はその後の生存に関わる重要なものになります(特に早期再発や難治性の場合)。形質転換といって濾胞性リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のようになって増悪する場合もあり、そのときの治療もまた重要です。

濾胞性リンパ腫の治療は年々改善されてきています。新しい発見もすすんでいます。各施設によって治療方法も異なることがあります。もしセカンドオピニオンや病院の変更を行う場合は、治療開始前の早い段階で行うのがよいでしょう。

本項でも国内・国外の文献やガイドラインを参照しつつ解説します。

 

濾胞性リンパ腫 早期再発や難治性の治療

濾胞性リンパ腫(FL)の抗腫瘍薬治療(化学療法)開始から2年以内のリンパ腫病変の増悪は、2年以降に増悪する症例と比較して全生存率が大きく下がります

この2年以内の早期再発は治療適応の濾胞性リンパ腫の初回治療のおよそ20%にみられます。

 

初回化学療法をR-CHOP療法で行った場合の臨床研究の結果が2015年に出版されています(J Clin Oncol. 2015 Aug 10;33(23):2516-22).

2年以内の早期再発は19%でしたがその症例の全生存率は2年以降の再発と比較して統計学的に明らかに不良でした(下図). 約5倍の生存への影響がありました。

濾胞性リンパ腫 治療開始2年再発 全生存率

 

BR療法で治療した場合でも早期再発の予後はよくありません。

2019年に出版された後ろ向き臨床研究(Blood. 2019 Aug 29;134(9):761-764.)では、BR療法後の2年以内の早期再発は13%でしたが、その症例の全生存率は明らかに2年以降の再発と比較して予後不良でした(下図)。

濾胞性リンパ腫 BR治療開始2年再発 全生存率

2年以内の早期再発症例の約75%形質転換が確認されています。診断時のグレードと早期再発との関係はありませんでした。

また、グレードが3Aであったとしても、グレードが1や2の症例と比べて早期再発しやすいというわけではありませんでした。

 

では早期再発する症例にはどのような治療がよいのでしょうか?

BR療法やR-CHOP療法で早期再発してしまう症例に、同じような治療はほとんど奏効しません

早期再発症例を対象としたランダム化臨床試験はありませんが、過去の症例を用いた臨床研究(後ろ向き臨床研究)がいくつかあります。

 

早期再発の進行期濾胞性リンパ腫の症例に対して、自分の造血幹細胞を大量化学療法直後に戻す治療(自家造血幹細胞移植)と他者の造血幹細胞を化学療法直後に移植する治療(同種造血幹細胞移植)を比較した後ろ向き研究の結果が2018年に出版されています(Cancer. 2018 Jun 15;124(12):2541-2551)。

一般的に同種造血幹細胞移植を行う場合は、細胞の型(HLA)が完全に一致する血縁者から行うほうが骨髄バンクなどで細胞の型が合う人から移植するよりも合併症が少なくなります。

この臨床研究では、自家造血幹細胞移植血縁者からの同種造血幹細胞移植骨髄バンクを介しての同種造血幹細胞移植の3群で比較しました。

その結果、5年時点での再発なく生存している確率(無増悪生存率)は、自家移植で38%, 血縁者からの同種移植で52%, 骨髄バンクでの同種移植で43%でした。統計学的には有意な差はありませんでした(下図)。

濾胞性リンパ腫 早期再発症例 自家 vs 同種 PFS

また移植関連の致死的な合併症は、5年時点では自家移植で5%, 血縁者からの同種移植で17%, 骨髄バンクでの同種移植で33%と、同種移植のほうが生命に関わる合併症が多い結果でした(下図)。

濾胞性リンパ腫 早期再発症例 自家 vs 同種 治療関連死亡率

最も重要な全生存率は、5年時点では自家移植で70%, 血縁者からの同種移植で73%, 骨髄バンクでの同種移植で49%と、骨髄バンクで統計学的に有意に低い結果でした(下図)。

濾胞性リンパ腫 早期再発症例 自家 vs 同種 OS

後ろ向き研究のため結果の信頼性はあまり高くありませんが、自家造血幹細胞移植と血縁同種造血幹細胞移植は生存率は同等ですが、合併症は自家造血幹細胞移植のほうが低いと考えられます。

骨髄バンクからの移植はどちらの治療よりも生存率が低いでしょう。

なお、一般に臍帯血移植やHLA不一致移植(7/8以下)はHLA一致の骨髄バンクからの移植よりも生存率は下がります。

 

2018年に2年以内の早期再発濾胞性リンパ腫の症例に対して、自家造血幹細胞移植を行う群行わない群で比較した大規模後ろ向き臨床研究の結果が出版されています(Biol Blood Marrow Transplant. 2018 Jun;24(6):1163-1171).

結果、5年生存率は自家移植群で67%, 非移植群で60%であり、統計学的な差はありませんでした。

1年以内の早期再発の症例に限定すると、自家移植群のほうが生存率は良好でした(下図).

濾胞性リンパ腫 1年以内早期再発症例 自家移植あり vs なし OS

全体では統計学的有意差がつかない場合にサブ解析を行うことがありますが、全体では差がついていないのにサブ解析で差がついた場合の解釈には注意が必要です。

このような場合に一部だけは有意差がつくからといって「この治療方法が推奨される」などとすることは科学的に正しいといえません。

 

2019年にも後ろ向き臨床研究の結果が出版されています。この臨床研究では早期再発濾胞性リンパ腫に対して、自家造血幹細胞移植を行う群と行わない群で比較しています(Leuk Lymphoma. 2019 Jan;60(1):133-141.)。

結果、5年時点での生存率は自家造血幹細胞移植で85.4%, 移植なしで57.9%と、統計学的にも明らかに自家移植群の生存率のほうが良好でした(p=0.001)。

 

上記より、後ろ向き臨床研究の結果しかありませんが、おそらくは早期再発した濾胞性リンパ腫に対しては、通常の化学療法よりも自家造血幹細胞移植を前提とした治療を行うほうがいいでしょう

また同種造血幹細胞移植を行うよりも自家造血幹細胞移植を前提とするほうが良いでしょう。

 

BR療法で早期再発もしくは難治性の場合は、自家造血幹細胞移植を行う前にオビヌツズマブ(商品名:ガザイバ)CHOP療法を組み合わせたO-CHOP療法を数コース行い少しでも進行を抑え、その間に自家末梢血幹細胞採取を行い十分量採取できたら自家造血幹細胞移植を行うことがおそらくはよいです。

リツキシマブよりもオビヌツズマブのほうが有害事象が多いですが奏効率も高いです。

 

自家造血幹細胞移植に年齢の上限は通常はありません腎臓、心臓、肝臓などの状態が良好であれば可能です。各施設・各医師により移植適応基準が異なりますのでよく確認してください。

自家造血幹細胞移植ができない場合、有効な治療は少なくなりますので可能であれば治験に参加することを推奨します。治験に参加できない場合は下記治療をご参照ください。

 

2020年12月時点でのアメリカのNCCNガイドライン(NCCN Guidelines)では、移植(自家も同種も)も新薬も記載はされていますが、どれかを強くすすめてはいません。同種移植についてはごく一部の症例のみとしています。

日本血液学会の2018年造血器腫瘍診療ガイドラインでは、早期再発症例には「若年者に対して自家移植併用大量化学療法は考慮されるべき治療選択肢である」としています。同種移植については、一部の若年者のみの選択肢としています。

 

濾胞性リンパ腫 2年以降の再発および再再発以降の治療

濾胞性リンパ腫は再発したからといって全例が直ちに治療が必要というわけではありません。治療を開始する目安というものが存在します。

GELF基準BNLI基準を参考にして治療開始するかどうか決めていきます。

詳細については「濾胞性リンパ腫 (FL)の初回治療 限局期もしくは無症候性の場合」をご確認ください。

 

初回治療がBR療法でなければ2年以降に再発した治療適応の濾胞性リンパ腫に対しては、初回化学療法の時の高い有効性と少ない副作用から、BR療法(リツキシマブ・ベンダムスチン)を推奨します。初回治療でBR療法を行った場合も再度BR療法は可能です。

リツキシマブのかわりに、オビヌツズマブを使用することも可能です。

 

リツキシマブに奏効しない症例ではオビヌツズマブのほうが有効です。

2016年に緩徐進行型のB細胞リンパ腫を対象とした大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されました(Lancet Oncol. 2016 Aug;17(8):1081-1093)。濾胞性リンパ腫の症例は約80%でした。

GADOLIN試験と名付けられたこの臨床試験では、リツキシマブが効かなくなった症例に対して、ベンダムスチンのみ、またはベンダムスチンとオビヌツズマブで治療効果を比較しました。オビヌツズマブ群はオビヌツズマブ維持療法を行っています。

この臨床試験は、明らかな有効性の違いから早期中断となりました。

全奏効率は、ベンダムスチン単独群で63%, オビヌツズマブ+ベンダムスチン群で69%でした。

完全奏効率もベンダムスチン単独群で12%, オビヌツズマブ+ベンダムスチン群で11%でした。

奏効率・完全奏効率ともに有意な差はありませんでした。

無増悪生存期間はベンダムスチン単独群で14.1か月であったのに対して、オビヌツズマブ+ベンダムスチン群では25.8か月と、統計学的にも明らかにオビヌツズマブ+ベンダムスチン群のほうが良好な結果でした(下図、J Clin Oncol. 2018 Aug 1;36(22):2259-2266)。

GADLIN Bendamustine vs Obinutuzumab + bendamustine, PFS

そして最も重要な全生存期間についても、統計学的にも明らかにオビヌツズマブ+ベンダムスチン群のほうが良好な結果でした(下図、J Clin Oncol. 2018 Aug 1;36(22):2259-2266)。

GADLIN Bendamustine vs Obinutuzumab + bendamustine, OS

これらの結果は濾胞性リンパ腫の症例のみで解析しても同様でした。

重症な有害事象はオビヌツズマブ+ベンダムスチン群のほうがやや多くみられました。

オビヌツズマブによる輸注反応は約70%にみられています。重症なものは約10%です。

好中球数の減少がオビヌツズマブ+ベンダムスチン群で少し増加します。

 

このGADLIN試験では濾胞性リンパ腫の症例を対象に測定可能残存病変(MRD, 微小残存病変)の評価も行われました(Leukemia. 2020 Feb;34(2):522-532)。

骨髄や血液でPCR検査というものを行い、試験開始時点で染色体転座t(14;18)や重鎖・軽鎖の遺伝子再構成が検出された症例限定で解析しました。

MRDが検出されなくなった症例はベンダムスチン単独群で55%, オビヌツズマブ+ベンダムスチン群で86%と、統計学的にも明らかにオビヌツズマブ+ベンダムスチン群のほうが多くMRD陰性に到達しました(下図、p=0.0002)。

GADLIN MRD Bendamustine vs Obinutuzumab + bendamustine

MRD陽性のままの症例よりも、MRD陰性に到達している症例は無増悪生存期間と全生存期間ともに統計学的にも明らかに良好でした(下図 A:無増悪生存期間 B:全生存期間)。

GADLIN MRD PFS, OS

MRD陰性は完全奏効に到達した症例で約80%でしたが、そもそも部分奏効に到達していれば約80%の症例でMRD陰性でした。

 

 

初回治療でR-CHOP療法を行った場合に再度R-CHOP療法を行うことは心毒性のリスクのため推奨しません。CHOP療法で使用するドキソルビシンは心毒性があり、CHOP療法を再度行うと心臓への障害の発生率が大きく上昇します。

 

再発後の化学療法でも2年以内に再発するようになったら、上記のように自家造血幹細胞移植を推奨します。

 

レナリドミド(商品名:レブラミド)も再発した濾胞性リンパ腫にある程度の奏効が期待できます。使用可能な薬剤がもうほかにない場合は選択肢にあがります。

2019年に大規模ランダム化臨床試験の結果が発表されました(J Clin Oncol. 2019 May 10;37(14):1188-1199.)。この臨床試験では再発濾胞性リンパ腫(約80%)を含む再発リンパ腫に対して、リツキシマブのみ、もしくはリツキシマブ+レナリドミドをランダム化して投与し、結果を比較しました。

無増悪生存期間はリツキシマブのみでは14か月でしたが、リツキシマブ+レナリドミドでは39か月と当疫学的にも明らかに延長しました(下図)。

濾胞性リンパ腫 AUGMENT R2 vs R, PFS

しかしながら2年時点での全生存率は統計学的な有意差はありませんでした(下図)。

濾胞性リンパ腫 AUGMENT R2 vs R, OS

この臨床試験では濾胞性リンパ腫のみのサブ解析を行っています。濾胞性リンパ腫のみでは2年時点での全生存率は統計学的に有意な差がみられました(下図).

濾胞性リンパ腫限定 AUGMENT R2 vs R, OS

ランダム化臨床試験の際に、全体では統計学的有意差がつかない場合にサブ解析を複数行い有意差がつくものを強調することがあります。

全体では差がついていないのにサブ解析で差がついた場合の解釈には注意が必要です。

全体では差がついていないのにサブ解析で差がついた項目を、この項目だけは有意差がつくので「この治療方法が推奨される」とすることは科学的に正しいといえません。

実際にこの臨床試験では辺縁帯リンパ腫も対象としていました。辺縁帯リンパ腫のみでは2年時点での全生存率は逆にレナリドミド群が低い傾向にありましたが、だからといって「推奨しない」とはなりません。

治療適応の再発濾胞性リンパ腫に対してリツキシマブのみで治療することはほとんどありません。

レナリドミド+リツキシマブによる治療は化学療法が奏効しない症例には選択にあがります。

オビヌツズマブ+レナリドミドでもある程度の奏効は期待できますが比較試験はありません(Lancet Haematol. 2019 Aug;6(8):e429-e437)。

 

2020年にオファツムマブリツキシマブを比較した大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されています(Blood Adv. 2020 Aug 25;4(16):3886-3893)。

オファツムマブはCD20に対する抗体薬でリツキシマブと同種類の薬剤になりますが、リツキシマブよりも抗腫瘍効果が高いとされ慢性リンパ性白血病などで使用されます。

この臨床試験(HOMER試験)はリツキシマブを含む治療後に再発した症例(大半は濾胞性リンパ腫)に対してオファツムマブ単独もしくはリツキシマブ単独でランダム化して投与しました。

結果、全奏効率はオファツムマブ群で50%, リツキシマブ群で66%であり、オファツムマブのほうが統計学的にもあきらかに低い奏効でした(p=0.0011)。

完全奏効率はオファツムマブ群で16%, リツキシマブ群で20%でした。

無増悪生存期間の中央値はオファツムマブ群で16.33か月、リツキシマブ群で21.29か月であり、統計学的な差はありませんでした(下図).

濾胞性リンパ腫 HOMER オファツムマブ vs リツキシマブ PFS

この臨床試験は早期中止となりました。中間解析の時点でオファツムマブがリツキシマブより勝る可能性はまずないと判断されたためです。

全生存については初回報告の時点ではほぼ差はありません(下図)。

濾胞性リンパ腫 HOMER オファツムマブ vs リツキシマブ OS

有害事象は明らかにオファツムマブ群のほうが多くみられました。重症な有害事象はオファツムマブ群で37%, リツキシマブ群で28%でした。

濾胞性リンパ腫に対してはリツキシマブを含む治療後に再発したとしても、オファツムマブよりもリツキシマブのほうが良いと言えます。

オファツムマブの使用は推奨しません

 

 

そのほか放射性同位体抗体薬、PI3K阻害薬などの臨床試験が行われています。

自家造血幹細胞移植後に再発した場合は同種造血幹細胞移植も治療選択肢になりますが、後ろ向き研究しかありません。奏効はある程度期待はできますが致命的な合併症の頻度が高めです(Cancer. 2018 Apr 15;124(8):1733-1742.)。

濾胞性リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植はあまり医学的な根拠がある治療方法とは言えません。もし行う場合は覚悟を持って行いましょう。

 

早期再発でもそうでなくても2020年12月時点でのアメリカのNCCNガイドライン(NCCN Guidelines)では、移植(自家も同種も)も新薬も記載はされていますが、どれかを強くすすめてはいません。

日本血液学会の2018年造血器腫瘍診療ガイドラインでは、「さまざまな治療選択肢があるが,その優劣は明らかでない」としています。

 

濾胞性リンパ腫 形質転換した場合の治療

濾胞性リンパ腫は安定している状態でも年間およそ数%の割合で形質転換を起こすことがわかっています。

また濾胞性リンパ腫治療後の早期増悪の時は形質転換している場合が多くみられます。治療後の早期形質転換はかなり生存に影響します(下図 J Clin Oncol. 2013 Sep 10;31(26):3272-8)。

濾胞性リンパ腫 形質転換 18か月未満 vs 以上 OS

早期形質転換は生存率を大きく低下させてしまいます

 

濾胞性リンパ腫に対して初回化学療法を行っていなければ、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と同様の治療法(R-CHOP療法)により、初発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と同等の良好な奏効が得られます(下図)。

濾胞性リンパ腫 形質転換 vs DLBCL OS

一方で濾胞性リンパ腫に対して初回化学療法後に形質転換しR-CHOPなどの化学療法を行った症例は、形質転換前に化学療法を行っていない症例とくらべて生存率は大きく低下します(下図)。

濾胞性リンパ腫, 形質転換前 vs 後 R-CHOP OS

初回化学療法後に形質転換した濾胞性リンパ腫には通常の化学療法はあまり奏効しません。

 

濾胞性リンパ腫の形質転換に対する大規模ランダム化臨床試験はありません。

後ろ向き臨床研究では自家造血幹細胞移植により生存率が再発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と同等になる可能性が示唆されています(Blood. 2015 Aug 6;126(6):733-8. )。

後ろ向き臨床研究の結果しかありませんが濾胞性リンパ腫の化学療法後形質転換に対しては、通常の化学療法よりも自家造血幹細胞移植を前提とした治療を行うほうがいいでしょう。

BR療法で治療していた場合は自家造血幹細胞移植を行う前に上記O-CHOP療法を数コース行い進行を抑え、その間に自家末梢血幹細胞採取を行い十分量採取できたところで自家造血幹細胞移植に進みます。

R-CHOP療法で治療していた場合はドキソルビシンの使用リスクが高いため、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に使用される化学療法であるR-GPD療法を行い、その間に自家末梢血幹細胞採取を行い十分量採取できたところで自家造血幹細胞移植に進みます。

自家移植後の再発もしくは自家移植ができない場合は、CAR-T細胞療法であるチサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)が治療選択になります。同種移植も選択肢にはあがりますが研究的治療です。

CAR-T細胞療法のほうが同種移植よりも有害事象は少ないです。

 

2020年12月時点でのアメリカのNCCNガイドライン(NCCN Guidelines)では、移植も新薬もCAR-T細胞療法も記載はされていますがどれかを強くすすめてはいません。CAR-T細胞療法は2種類以上の治療を行った症例限定としています。

日本血液学会の2018年造血器腫瘍診療ガイドラインでは、濾胞性リンパ腫の化学療法後形質転換に対しては「化学療法により奏効がえられた場合,若年者では自家移植併用大量化学療法を実施することが推奨される」としています。

 

まとめ 濾胞性リンパ腫 再発、難治性、および形質転換の治療

● 2年以内に再発した濾胞性リンパ腫に対しては、通常の化学療法よりも自家造血幹細胞移植を前提とした治療を行うほうがよいと考えられます。

● 2年以降の再発の場合は、自家移植よりも化学療法のほうが良いと考えられます。

● 濾胞性リンパ腫の化学療法後の形質転換に対しては、通常の化学療法よりも自家造血幹細胞移植を前提とした治療を行うほうがよいと考えられます。

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2018年造血器腫瘍診療ガイドライン

NCCN Guidelines

 

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