骨髄異形成症候群(MDS) 診断と治療の概要

2019-12-22

myelodysplastic syndromes 骨髄異形成症候群 Giemsa 400

 

骨髄異形成症候群 (Myelodysplastic syndromes, MDS)は、血液を造るもとの細胞である「造血幹細胞」に近い細胞が腫瘍化して起こる造血器悪性腫瘍の一種です。

骨髄異形成症候群のおおもとの腫瘍細胞から造られる血液細胞は、不完全な成熟をおこし、造血の過程の途中で止まってしまっているものも多く、結果として血液検査で血球の低下がみられます(無効造血)。またこれらの細胞は正常な血液細胞と異なり、機能異常や形態異常がみられます。

骨髄異形成症候群ではこれらの異常細胞が徐々に増殖していき、血液中の正常血球は徐々に低下していきます。芽球といって急性白血病のような細胞が増えていくこともあります。

 

骨髄異形成症候群は、血液内科の悪性腫瘍の中では比較的多くみられます。

急性骨髄性白血病と同じくらいの年間の発症頻度で、年間の発症率は人口10万人あたり3~5人とされていますが、高齢化の進行により発症率は上昇しています。70歳以上の発症頻度は50~70歳とくらべると約4倍です。発症年齢の中央値も65歳以上となります。

若年者で骨髄異形成症候群を発症することは、遺伝的原因放射線被ばく抗がん剤などの薬剤への暴露などがない限り、まれです。

発症しても進行は比較的ゆっくりですが、骨髄異形成症候群の中でも、進行が速いものと遅いものがあります。生存についても、予後不良なものから、無治療でもほとんど進行しないものまで様々です。治療も、骨髄異形成症候群のタイプに合わせて行います。

 

本項では骨髄異形成症候群の診断と治療についての概要を解説します。詳細な内容については以下の各項目にリンクがありますので、詳しく知りたいときはご確認ください。

低リスクの骨髄異形成症候群は、抗がん剤治療を行わなくても、支持療法だけで長期予後が期待できます。生命予後として問題になるのは高リスクの骨髄異形成症候群です。年々治療が進んでいるとはいえ、根治的な治療は同種造血幹細胞移植です。

 

骨髄異形成症候群 症状・血液検査異常と診断

骨髄異形成症候群(MDS)では多くの場合、症状はなく、健康診断や、別の理由で採血した時に異常が指摘されます。

また症状があったとしても、「疲れやすい」といったようなあまりはっきりしないものになります。しかし採血の結果は明らかな異常が指摘されます。

骨髄異形成症候群では、「貧血」、「白血球数減少」、「血小板数減少」の少なくともいずれかが指摘されます。約半数の症例では3つとも低下しています。

診断のためには骨髄検査が必要になります。

骨髄液を吸引する「骨髄穿刺」と骨髄組織を採取する「骨髄生検」の両方が必須です。

 

骨髄異形成症候群の診断基準は、2020年12月時点では2016年改訂WHO分類をもちいます。

骨髄異形成症候群の診断には以下の3つが必要です。

①血液検査での血球数低下、

②「骨髄検査で細胞の形態異常」、「骨髄芽球の増加」、「骨髄検査で特定の染色体異常」のいずれか、

③血球減少や血球形態異常を起こす別の原因を徹底的な除外

 

詳細は以下のリンク先のページをご覧ください。

骨髄異形成症候群 NCC 379000 Blast 0.2%
骨髄異形成症候群 (MDS) 症状・血液検査異常と診断

続きを見る

 

骨髄異形成症候群の予後リスク判定、初回治療

骨髄異形成症候群の診断が確定したら、次は、治療が必要かどうか、無治療の場合の生存リスクはどの程度か確認し、それに基づいて骨髄異形成症候群の治療を決定していきます。

2020年12月時点で最新の予後リスク判定は、改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)です。

骨髄異形成症候群の治療は、輸血が必要になったら、急性白血病化したら、好中球減少のため感染を繰り返すようになってから、となります。いずれにも該当しない場合は治療を直ちに開始する必要はありません。

低リスク群の治療が必要な骨髄異形成症候群に対しては、赤血球造血刺激因子製剤、レナリドミド、免疫抑制療法などを用いた治療を行います.

低リスク骨髄異形成症候群にアザシチジンなどを使用しても生存率は改善するとは言えません

高リスクの骨髄異形成症候群の治療は、「同種造血幹細胞移植」「アザシチジンなどのメチル化阻害剤」が選択肢となります。

アザシチジンが根治的な治療でないことを考慮すると、移植の適応症例であれば同種造血幹細胞移植を行ったほうがよいと考えられます。

 

詳細は以下のリンク先のページをご覧ください。

 

骨髄異形成症候群 高リスク群の治療の実際と効果判定

低リスクの骨髄異形成症候群に対する赤血球造血刺激因子製剤の投与などは有害事象は少なく、大きな問題になることはあまりありません。その一方、高リスクの骨髄異形成症候群への治療は合併症が多く、適切な管理が必要になります。

同種造血幹細胞移植の適応は、施設や担当医師により異なります。年齢だけを理由に移植ができないということはありません。同種造血幹細胞移植の実際のやり方も施設や担当医師により異なります。

骨髄異形成症候群の同種造血幹細胞移植は全身状態が良好であれば、「骨髄破壊的前処置」を推奨します。

 

アザシチジンは移植適応ではない高リスク骨髄異形成症候群症例の全生存を改善させます。アザシチジンは投与サイクル数に制限はありません。外来での投与も可能です。

アザシチジンの投与は、少量シタラビン療法や強力抗がん剤治療と比べると重症感染症になる割合はかなり少なく、抗がん剤を使用しない場合とあまり変わりません。

移植適応ではない高リスク骨髄異形成症候群症例に対しては、強力抗がん剤治療や少量シタラビン療法などよりも、アザシチジンの投与を推奨します。

感染症には注意が必要です。発熱したら早めに病院を受診してください

 

骨髄異形成症候群の治療効果判定は国際ワーキンググループ(IWG)の基準(2006と2018基準)を用います。

 

詳細は以下のリンク先のページをご覧ください。

 

© 2021 Cwiz Hematology