再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)の新薬などの臨床試験結果

2021-01-25

多発性骨髄腫 セリネクソール BOSTON, 無増悪生存率

 

多発性骨髄腫(MM)の治療は新薬が次々と登場しており、それにより生存率は年々改善している状況です。

新規治療は再発・難治性の症例の臨床試験から行われ、その後初回治療でも臨床試験が行われます。

本項では、再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新規治療の臨床試験結果について解説していきます。

セリネクソール、ベランタマブ マフォドチン、CAR-T細胞療法などが期待の新規治療です。どのくらい期待できるのか以下に医学文献を参照に解説していきます。

そのほか既存薬の新規の臨床試験の結果についても解説します。

 

再発・難治性の多発性骨髄腫の治療は何がよいのかについては「多発性骨髄腫(MM)の再発の基準と再発後移植の有効性」「再発・難治性の多発性骨髄腫 (MM) に対する化学療法」をご覧ください。

 

再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新薬の大規模ランダム化臨床試験の結果

再発・難治性となった多発性骨髄腫(MM)の新薬の臨床試験は次々と行われています。

 

ペムブロリズマブはPD-1に対する抗体薬の一つです。悪性黒色腫、肺癌、ホジキンリンパ腫など多くの悪性腫瘍の治療に用いられています。商品名はキイトルーダです。

腫瘍に発現したPD-1リガンドは、活性化したT細胞に発現しているPD-1と結合して、T細胞による免疫システムを抑制し攻撃を免れています。

ペムブロリズマブは腫瘍のPD-1リガンドとT細胞のPD-1が結合することを防ぎ、細胞傷害性T細胞を活性化させ腫瘍増殖を抑制するとされています。

 

ペムブロリズマブを再発・難治性の多発性骨髄腫に対して用いた、大規模ランダム化臨床試験の結果が2019年に出版されています(Lancet Haematol. 2019 Sep;6(9):e459-e469).

KEYNOTE-183試験と名付けられたこの臨床試験では、ポマリドミド+デキサメタゾン療法(Pd療法)ペムブロリズマブを追加するかしないかでランダム化して比較しました。

結果、全奏効率はPd療法群で40%、ペムブロリズマブ+Pd療法群で34%でした。

無増悪生存期間の中央値は, Pd療法群では8.4か月であったのに対して、ペムブロリズマブ+Pd療法群では5.6か月でした。有意な差はありませんでした(HR 1.53, 95%CI 1.05-2.22, p=0.98).

全生存期間についても有意な差はありませんでした。

有害事象はペムブロリズマブ群のほうが明らかに多くみられました。

 

ペムブロリズマブは初発の多発性骨髄腫に対しても大規模ランダム化臨床試験を行っていました(KEYNOTE-185試験).

しかしどちらの臨床試験でもペムブロリズマブ群のほうが有害事象が多く、また無増悪生存率・全生存率のどちらも改善も認められないため、多発性骨髄腫に対するペムブロリズマブの臨床試験はどちらも早期終了となりました。

 

多発性骨髄腫に対するPD-1抗体薬は推奨されません。

 

 

ベネトクラクスはBCL-2阻害薬に分類される薬剤です。慢性リンパ性白血病などで用いられる薬剤です。商品名はベネクレクスタです。

BCL-2は慢性リンパ性白血病細胞などで過剰発現し細胞死を防ぐとされています。ベネトクラクスはBCL-2と結合し、腫瘍の細胞死を誘導するとされます。

 

ベネトクラクスを再発・難治性の多発性骨髄腫に対して用いた、大規模ランダム化臨床試験の結果が2020年に出版されています(Lancet Oncol. 2020 Dec;21(12):1630-1642)。

BELLINI試験と名付けられたこの臨床試験では、ボルテゾミブ・デキサメサゾン療法(Bd療法)ベネトクラクスもしくは偽薬をランダム化して投与し比較しました。

結果、全奏効率はベネトクラクス+Bd群で82%, 偽薬+Bd群で68%でした。統計学的にも明らかにベネトクラクス群のほうが良好でした(p=0.0081)。

最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは、ベネトクラクス+Bd群で59%, 偽薬+Bd群で36%でした(p=0.00029).

厳密完全奏効(sCR)に到達したのは、ベネトクラクス+Bd群で8%, 偽薬+Bd群で2%でした(p=0.0054).

奏効は統計学的にも明らかにベネトクラクス群のほうが良好でした(下図).

多発性骨髄腫 ベネトクラクス BELLINI, 奏効率

無増悪生存期間の中央値は、ベネトクラクス+Bd群で22.4か月であったのに対して、偽薬+Bd群では11.5か月と、統計学的にも明らかにベネトクラクス群のほうが良好でした(下図, HR 0.63, 95%CI 0.44-0.90, p=0.010).

多発性骨髄腫 ベネトクラクス BELLINI, 無増悪生存率

ところが、全生存率については真逆になりました

治療中の死亡率はベネトクラクス群のほうが偽薬群の倍くらいになってしまいました(下図, HR 2.03, 95%CI 1.04-3.95, p=0.034).

多発性骨髄腫 ベネトクラクス BELLINI, 全生存率

これは致命的な有害事象がベネトクラクス群に多く発生したことを意味します。

この臨床試験では致命的な感染症がベネトクラクス群に偽薬群よりも多く発生しました。

 

多発性骨髄腫に対するベネトクラクスは推奨されません。

ただしBELLINI試験ではt(11;14)タイプの多発性骨髄腫にはベネトクラクスが有効な可能性があり、t(11;14)を有する多発性骨髄腫だけを対象とした臨床試験を行っていますが、2021年3月時点では結果はまだわかっていません。

 

 

セリネクソールは腫瘍抑制蛋白や成長因子などの細胞核輸送を、exportin 1という蛋白をブロックすることで阻害します。

重要な蛋白の輸送が阻害されることで、細胞核内に腫瘍抑制蛋白が蓄積し、細胞死を誘導するとされます。

アメリカではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫に承認されていますが、2021年3月時点で日本では未承認です。

 

セリネクソールを再発・難治性の多発性骨髄腫に対して用いた、大規模ランダム化臨床試験の結果が2020年に出版されています(Lancet. 2020 Nov 14;396(10262):1563-1573).

BOSTON試験と名付けられたこの臨床試験では、ボルテゾミブ・デキサメサゾン療法(Bd療法)にもしくはセリネクソール+Bd療法にランダム化して投与しました。

結果、全奏効率はセリネクソール+Bd療法群で76.4%, Bd療法群で62.3%であり、統計学的にも明らかにセリネクソール群のほうが良好でした(p=0.0075).

最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは、セリネクソール+Bd療法群で44.6%, Bd療法群で32.4%でした(p=0.0082).

厳密完全奏効(sCR)に到達したのは、セリネクソール+Bd療法群で10%, Bd療法群で6%でした.

奏効は統計学的にも明らかにセリネクソール+Bd療法群のほうが良好でした(下図).

多発性骨髄腫 セリネクソール BOSTON, 奏効率

無増悪生存期間の中央値はセリネクソール+Bd療法群で13.93か月であったのに対して、Bd療法群では9.46か月と、統計学的にも明らかにセリネクソール+Bd療法群のほうが良好でした(下図, HR 0.70 95%CI 0.53-0.93, p=0.0075).

多発性骨髄腫 セリネクソール BOSTON, 無増悪生存率

全生存率についてはこの時点ではまだ有意な差はついていませんが、セリネクソール群のほうがよさそうです(HR 0.84, 95%CI 0.57-1.23, p=0.1852)。

重症な有害事象についてはセリネクソール群のほうが多く、疲労、吐き気、嘔吐、下痢などが比較的発生しやすいです。

有害事象による治療中止の割合はセリネクソール群のほうが少し多く21%でした(Bd療法群では16%).

 

セリネクソールは多発性骨髄腫の重要な薬剤のひとつと言えますが、ボルテゾミブとの組み合わせを再発・難治性の症例に用いることはあまり多いとは言えません。

組み合わせの薬剤を変更した臨床試験の結果が今後続くことを期待します。

 

2021年3月時点でのアメリカのNCCNガイドライン(NCCN Guidelines)では、セリネクソール・ボルテゾミブ・デキサメサゾンカテゴリー1の推奨となっています。

日本血液学会の2018年造血器腫瘍診療ガイドラインでは、セリネクソールについての記載はありません。

 

再発・難治性の多発性骨髄腫に対する開発中の新規治療の臨床試験結果

大規模ランダム化臨床試験ではありませんが、今後期待できそうな新規治療の臨床試験の結果もいくつかでています。

 

ベランタマブ マフォドチンは、BCMAに対する抗体に微小管阻害薬(monomethyl auristatin F, MMAF)をくっつけた薬剤です。

BCMAは多発性骨髄腫細胞に多く発現している蛋白です。ベランタマブ マフォドチンはBCMAに結合し細胞内にMMAFを放出します。

ベランタマブ マフォドチンは抗体薬の作用とMMAFによる細胞障害作用の両方を有するとされます。

 

ベランタマブ マフォドチンを再発・難治性の多発性骨髄腫に対して用いた試験の結果が2020年に出版されています(Lancet Oncol. 2020 Feb;21(2):207-221).

DREAMM-2試験と名付けられたこの臨床試験では、ベランタマブ マフォドチンの投与量をランダム化して比較しました。2.5 mg/kgと3.4 mg/kgです。いずれも単剤で3週間に1回投与しました。

過去の治療レジメン数の中央値はそれぞれ7と6でした。治療歴は多いといえます。

結果、全奏効率は2.5 mg/kg群で31%, 3.4 mg/kg群で34%でした。

最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは、2.5 mg/kg群で19%, 3.4 mg/kg群で20%でした。

完全奏効(CR)もしくは厳密完全奏効(sCR)に到達したのは、両群とも3%でした。

無増悪生存期間の中央値は2.5 mg/kg群で2.9か月, 3.4 mg/kg群で4.9か月でした。

ベランタマブ マフォドチンに特徴的な有害事象として、角膜障害がみられました。重症な角膜障害が2.5 mg/kg群で27%, 3.4 mg/kg群で21%にみられました。

 

ベランタマブ マフォドチンは再発・難治性の多発性骨髄腫に対して、ある程度の効果はあるようですが、単剤での効果はあまり高くはありません。

アメリカでは承認されましたが、今後の臨床試験の結果がまたれます。

 

 

CAR-T細胞療法はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病などに用いられる治療方法です。商品名はキムリアなどになります。

多発性骨髄腫では、BCMAを目標としたCAR-T細胞療法の臨床試験が進んでいます。

 

2019年に再発・難治性の多発性骨髄腫に対してCAR-T細胞療法を用いた単群の臨床試験の結果が出版されています(N Engl J Med. 2019 May 2;380(18):1726-1737).

過去の治療レジメン数の中央値は7でした。治療歴は多いといえます。

結果、全奏効率は85%でした。最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは73%でした。

厳密完全奏効(sCR)も36%で達成しました。

一方で血球減少がほとんどの症例でみられました。

CAR-T細胞療法で懸念されるサイトカイン放出症候群は76%にみられましたが、重症化したのは6%でした。

神経毒性は42%にみられました。重篤なのものが1例にみられています。

臨床試験中の死亡は1例で、CAR-T細胞療法とは関係ない心肺停止とされています。

 

2021年にはさらに規模を大きくしたCAR-T細胞療法の臨床試験の結果が出版されました(N Engl J Med. 2021 Feb 25;384(8):705-716). 

再発・難治性の多発性骨髄腫症例128名にidecabtagene vicleucelを用いて治療しました。BCMAを標的としたCAR-T細胞療法の一種です。

過去の治療レジメン数の中央値は6でした。84%の症例は、プロテアソーム阻害にも免疫調節薬にも抗CD38抗体薬にも不応となっていました。

結果、全奏効率は73%でした。完全奏効率は33%でした。

無増悪生存期間は中央値で8.8か月でした。

やはりほとんどの症例で血球減少がみられ、重症な好中球減少が89%でした。重症な発熱性好中球減少症は16%でした。

CAR-T細胞療法で懸念されるサイトカイン放出症候群は84%にみられましたが、重症化したのは5%でした。

神経毒性は18%にみられましたが、重症化したのは3%でした。

その他、重症な電解質異常がありました。重症な低リン血症が16%, 重症な低カルシウム血症が8%, 重症な低ナトリウム血症が5%にみられました。

 

idecabtagene vicleucelはプロテアソーム阻害にも免疫調節薬にも抗CD38抗体薬にも不応となっている多発性骨髄腫に対する効果としては高いと言えます。

2021年3月時点でidecabtagene vicleucelはアメリカで承認されています。日本での承認も近く期待できるでしょう。

BCMAに対するCAR-T細胞療法は再発・難治性の多発性骨髄腫にも期待の新規治療であると言えます。

今後の臨床試験の結果がまたれます。

 

 

メルファラン フルフェナミド(メルフルフェン)は抗がん剤と蛋白を結合した薬剤(ペプチド薬物複合体)です。

親油性が高いため細胞に取り込まれやすくなっています。細胞内でメルフルフェンは分離されメルファランなどになります。

通常の抗がん剤よりも強いDNA障害を起こすと考えられています。

 

2020年にメルファラン フルフェナミド(メルフルフェン)を再発・難治性の多発性骨髄腫に対して使用した前向き臨床試験の結果が出版されました(J Clin Oncol. 2020 Dec 9;JCO2002259).

この臨床試験(HORIZON試験)ではメルフルフェンとデキサメタゾンを用いて治療しました。過去の治療レジメン数の中央値は5でした。

結果、全奏効率は29%, 最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは11%、完全奏効(CR)もしくは厳密完全奏効(sCR)に到達したのは1%でした。

無増悪生存期間の中央値は4.2か月、全生存期間の中央値は11.6か月でした。

重症な血球減少が大半の症例にみられました(96%)。

 

メルファラン フルフェナミド(メルフルフェン)は再発・難治性の多発性骨髄腫に対して、ある程度の効果はあるようですが、単剤あるいは副腎皮質ステロイドとの組み合わせだけでの効果は限定的です。

血球減少の懸念がすでにありますが、今後の臨床試験の結果がまたれます。

2021年3月時点でメルファラン フルフェナミド(メルフルフェン)はアメリカで承認されています。日本での承認も近く期待できるでしょう。

 

再発・難治性の多発性骨髄腫に対する既存薬の新規の臨床試験の結果

ポマリドミド(商品名:ポマリスト)は再発・難治性の多発性骨髄腫に対して使用されています。通常はエロツズマブやイサツキシマブなどと組み合わせて使用します。

 

2019年にポマリドミドとボルテゾミブとデキサメタゾンを組み合わせた治療の大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されました(Lancet Oncol. 2019 Jun;20(6):781-794)。

OPTIMISMM試験と名付けられたこの臨床試験では、Bd療法ポマリドミド+Bd療法(PBd療法)を比較しました。

このような大規模ランダム化臨床試験では過去の治療レジメン数は少なくなります。この臨床試験でも過去の治療レジメン数の中央値は2でした。

結果、全奏効率はBd群で50%, PBd群で82.2%でした。PBd療法のほうが統計学的にも明らかに高い結果でした(p<0.0001)。

最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは、Bd群で18.3%, PBd群で52.7%でした(p<0.0001).

厳密完全奏効(sCR)を達成したのは、Bd群で0.7%, PBd群で3.2%でした。

奏効率についてはPBd療法のほうがBdよりも統計学的にも明らかに良い結果でした(下図).

多発性骨髄腫 PBd vs Bd, OPTIMISMM, 奏効率

無増悪生存期間の中央値はBd群で7.1か月、PBd群で11.2か月で、PBd療法のほうがBd療法よりも統計学的にも明らかに良い結果でした(下図, HR 0.61, 95% CI 0.49-0.77, p<0.0001).

多発性骨髄腫 PBd vs Bd, OPTIMISMM, 無増悪生存率

全生存についてはまだ差はついてません(HR 0·98, 95% CI 0·73-1·32, p=0·89)。

有害事象はPBd療法のほうが多くなります。血球減少、肺炎などの感染症、疲労、末梢神経障害、便秘などが多いです。

 

PBd療法はBd療法よりも有効ですが、再発・難治性の症例にボルテゾミブとの組み合わせを用いることはあまり多くはありません。

またポマリドミドとの組み合わせは他にもありますので、実際にPBd療法を行うことは少ないでしょう。

 

 

ダラツムマブ(商品名:ダラザレックス)イサツキシマブ(商品名:サークリサ)は他の薬剤との組み合わせで承認されています。

ではこれらの薬剤の単剤での効果はどうなのでしょうか?

 

2020年にダラツムマブ点滴投与を単剤で投与した前向き臨床試験の結果がでています(Lancet Haematol. 2020 Jun;7(6):e447-e455).

この試験では過去の治療レジメン数の中央値は5でした。

結果、全奏効率は30.4%, 最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは14%でした。

 

ダラツムマブは再発・難治性の多発性骨髄腫に対して、ある程度の効果はあるようですが、単剤での効果は限定的です。あまり高くはありません。

 

2020年にイサツキシマブを単剤で投与した前向き臨床試験の結果がでています(Leukemia. 2020 Dec;34(12):3298-3309).

この試験では過去の治療レジメン数の中央値は5でした。

結果、全奏効率は19.4%, 最良部分奏効(VGPR)以上を達成したのは11.3%でした。投与量が多いと全奏効率は29.2%でした。

 

とはいえダラツムマブと同様に、同系統の薬剤であるイサツキシマブも再発・難治性の多発性骨髄腫に対してある程度の効果はあるようですが、単剤での効果は限定的です。

 

 

ダラツムマブは皮下注射製剤が登場しています(商品名:ダラキューロ)

皮下注射製剤は点滴製剤と比べても、効果が変わるとは言えません。

 

2020年にダラツムマブの皮下注射点滴を比較した大規模ランダム化臨床試験の結果が出版されました(Lancet Haematol. 2020 May;7(5):e370-e380).

COLUMBA試験と名付けられたこの臨床試験では、単剤での効果を比較しています。

皮下注射でも点滴でも全奏効率はおよそ40%で有意な差はありませんでした(下図)。

多発性骨髄腫 ダラツムマブ単剤 COLUMBA, 奏効率

無増悪生存期間の中央値もどちらもおよそ6か月です。有意な差はありませんでした(下図).

多発性骨髄腫 ダラツムマブ単剤 COLUMBA, 無増悪生存率

全生存率も大差ありませんでした。

輸注反応は皮下注射のほうが発生率は低く、重症な輸注反応は皮下注射で2%, 点滴投与で5%でした。

注意点は輸注反応が発生するまでの時間が皮下注射製剤のほうが長いことです。

点滴投与開始から輸注反応が発生するまでの時間の中央値は1.5時間であったのに対して、皮下注射では3.4時間と明らかに遅くなりました。

 

ダラツムマブの皮下注射は3~5分で終了します。皮下注射製剤のほうが点滴製剤よりも利便性が高いと言えるでしょう。

 

まとめ 再発・難治性の多発性骨髄腫の新薬などの臨床試験結果

● 大規模ランダム化臨床試験の結果から、多発性骨髄腫に対してペムブロリズマブなどのPD-1抗体薬やベネトクラクスの使用は推奨されません。一方、セリネクソールは多発性骨髄腫の重要な薬剤のひとつと言えます。

● 今後期待の新規治療として、ベランタマブ マフォドチンCAR-T細胞療法メルファラン フルフェナミド(メルフルフェン)の臨床試験が進んでいます。

● 再発・難治性の多発性骨髄腫に対してPBd療法はBd療法よりも有効ですが、使用することは少ないでしょう。ダラツムマブイサツキシマブの単剤での使用の効果は限定的です。

● ダラツムマブは皮下注射製剤が登場しています。皮下注射製剤は点滴製剤と比べても効果が変わるとは言えませんが、皮下注射は3~5分で終了し利便性が高いです。

参考文献

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